2013 Fiscal Year Annual Research Report
稼動年齢層の社会的孤立のメカニズムの解明と孤立抑止のためのセイフティネット設計
Project/Area Number |
23730275
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤井 研樹 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (20583214)
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Keywords | 孤立 / 孤独 / セイフティーネット |
Research Abstract |
「非自発的孤立・無縁者救済のための社会保障制度設計」に取り組み、アンケートから社会的孤立グループの低所得者向けの貯蓄政策に目を向けると、セイビング・ゲートやチャイルド・トラスト、そして、ベーシックインカムに対する期待度が高いことがわかった。また、所得500-700万の現役のサラリーマンとOLを対象としたアンケートを行った。セイビング・ゲートに比べてチャイルド・トラストの貯蓄率は同じ金利でも低くなった。セイビング・ゲートとしては自己のために使える利便性が高い、貯蓄を崩せる時期が3年と5年の方式と所得が300万を超えた時と結婚時のボーナス方式の貯蓄率が相対的に高くなった。これに対して、失業時に貯蓄を崩せる場合は、貯蓄率が低く抑えられた。チャイルド・トラスト方式の場合には、義務教育開始の小学校入学時より大学入学時に貯蓄を崩せる方式の方が貯蓄率が上がった。しかし、前節の所得が400万以下の社会的孤立グループと比べると、チャイルド・トラストでの貯蓄率は低くなった。さらに、ベーシックインカムでは8万円で回答者の現状の平均貯蓄率15%を上回る貯蓄が行われることが分かった。また、ベーシックインカムと低所得者向けの貯蓄推進政策を組み合わせると、ベーシックインカムが無い状態に比べて、同じ優遇金利でも、ベーシックインカムがある時の方が、失業時に備えた貯蓄や子供の大学進学に備えた貯蓄が増えることが分かった。 孤立と孤独を抑止し、社会的孤立グループを孤立から脱却させるためには、低所得者向けの貯蓄優遇政策は非常に有効であり、給与の一部を自治体が優遇利子率で非課税で貯蓄に回し、彼らが生活保護を脱したり、所得が300万円などの一定額に達したり、子供が高校もしくは大学に進学したりした時に還元する方式が望ましいと考えられる。
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