2013 Fiscal Year Annual Research Report
鉱山閉山地域における地域再生と環境再生に向けた政策研究
Project/Area Number |
23730279
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
関 耕平 島根大学, 法文学部, 准教授 (10403445)
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Keywords | 鉱山閉山地域 / 地域再生 / 環境再生 / 地方財政 |
Research Abstract |
本研究は、非鉄金属鉱山が立地していた地域(鉱山閉山地域)における地域問題の分析を焦点に据え、①全国の鉱山閉山地域を分類・類型化する基礎的な研究を通じ、②閉山前後から現在に至るまでの地域変遷を明らかにした上で、③地域再生および環境再生にむけ た政策モデルを提示することを目的としている。 鉱山閉山地域の分類・類型化による実態把握(地域変遷および政策)については、とくに事例研究や資料(財政数値の変化:決算書や閉山対策、地域振興策などの行政資料)収集を積み重ねることができ、研究成果を刊行することができた。とくに高知県大川村における①鉱山立地以前の地域社会・経済の構造、②閉山後の地域における社会問題の位相、③自治体財政を中心とした政策展開、の三つの視点(指標)を基礎にして、鉱山閉山地域社会の変遷における共通性・一般性について考察を深めることができた。 大川村における鉱山閉山地域再生の取り組み実態の分析から以下の3点を析出した。第一に、明確な地域再生の理念を掲げることの重要性である。観光・リゾートに走らずに、農林業や畜産振興にぶれることなく軸足を置いている点、教育を重視している点が注目される。 第二に、鉱山会社による協力の重要性である。鉱山跡地の企業からの村への買取が実現し、その後の交流施設の整備・活用、第一次産業の立地などが実現している。こうした跡地利用と企業の協力は、閉山後の地域の振興を大きく左右することが明らかであり、企業の社会的責任を考える上でも重要な視点である。 第三に、中央政府や県による包括的な支援策の欠如である。財源調達の困難さから、鉱山跡地の利用の余地がいまだにあって活用しきれていないこと、実現できなかった構想内容があったことなどが明らかになった。炭鉱地域と比較しても中央政府による非鉄金属鉱山の閉山対応は極めて限定的で不十分であったことが明らかになった。
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