2011 Fiscal Year Research-status Report
労働市場の二極化の解消-派遣業の仲介機能に関するミクロ計量経済分析
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23730280
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木村 寛子 (奥平 寛子) 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (80550954)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 労働市場政策 / 派遣労働 / 踏み石効果 / ATT推定 |
Research Abstract |
本研究は、3年間の計画を前提に、労働市場の二極化の解消と派遣業の仲介機能との関連を明らかにするものである。主な分析対象は、派遣を通じて就労する人の生活状況や就業状態であり、これらの派遣労働者が仮に派遣を通じて就労していなかったとしたら、その後の賃金率や正規雇用率がどのように変化したかを最新の応用計量経済学の手法を用いて推定する。 今年度は、派遣労働を利用することが労働者のその後の就労状況を改善させるかどうかをATT推定(Average Treatment Effect on the Treated Estimation)によって分析し、日本では派遣労働が正社員への踏み石とはならないことを明らかにした。このことは派遣労働が労働市場の仲介者として、十分なマッチング機能を果たしてこなかったことを意味する。本研究により、労働市場の二極化を解消するという観点から引き続き派遣労働法の見直しが必要であることが強く示唆される。 なお、分析結果は国内の主要学会でのほか、複数の研究会やセミナーでも研究報告を行い、多くの研究者との議論をふまえて改訂を行った。この成果はディスカッション・ペーパーとして刊行し、国際査読誌に投稿した。編集者からの改定要求にしたがって現在改訂中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果をセミナーや学会等で報告し、既に国際査読誌から改訂要求を受けた点で、本研究は順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、労働市場の二極化を解消するための具体的な方策に焦点を当てて研究を行う。また、平成23年度で得られた推定結果について、より正確な派遣労働の影響を識別するための発展的な推定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は当初の予定通り、国際学会で研究成果を報告する。その出張旅費が次年度の研究費の半分程度を占めることになる。残りは国内における研究成果報告のための旅費、および英文校正費等として利用予定である。
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