2012 Fiscal Year Research-status Report
労働市場の二極化の解消-派遣業の仲介機能に関するミクロ計量経済分析
Project/Area Number |
23730280
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木村 寛子(奥平寛子) 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (80550954)
|
Keywords | 派遣労働 / 踏み石効果 / ATT推定 / Sensitivity Analysis / Simulating Confounders |
Research Abstract |
本研究は、3年間の計画を前提に、労働市場の二極化の解消と派遣業の仲介機能との関連を明らかにするものである。2年目は、より応用的な推定方法を用いて1年目の推定結果の頑健性を調べるとともに、どのような労働者が派遣を通じて就労することを選択したのかという派遣労働へのセルフ・セレクションのメカニズムを明らかにすることを目的としていた。 本研究で用いているATT推定では「派遣を選択するような労働者は、仮に派遣就労をしなかったとしても正社員になれる(なれない)傾向を持つ」というセルフ・セレクションの仮定が成立しないことが前提条件となっている。派遣労働の効果を正しい因果関係に基づいて判断するためには、その仮定に対する頑健性を確かめる必要がある。最近では、セルフ・セレクションのメカニズムを敢えて明示化することにより、因果関係の推定を行うアプローチが採用されている。本研究では、Ichino, Mealli and Nannicini(2008)と同じ手法を用いて分析を行った。その結果、派遣労働へのセルフ・セレクションの可能性は大きくないことが明らかにされた。また、分析より、仮にセルフ・セレクションがあったとすれば、派遣労働は「仮に派遣就労をしなかったとしても正社員なれない傾向を持つ」人々を選択している可能性が示唆された。 なお、上記の結果をまとめた論文は、Journal of Japanese and International Economiesに採択された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
セレクションの問題を考慮した研究が国際査読誌に採択されたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、当初の研究計画の通り、労働市場の二極化を解消するための方策について検証する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|