2013 Fiscal Year Annual Research Report
労働市場の二極化の解消-派遣業の仲介機能に関するミクロ計量経済分析
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23730280
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木村 寛子 (奥平 寛子) 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (80550954)
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Keywords | 派遣労働 / 踏み石効果 / ATT推定 / Sensitivity Analysis |
Research Abstract |
本研究は、3年間の計画を前提に、労働市場の二極化の解消と派遣業の仲介機能との関連を明らかにするものである。3年目は、労働市場の二極化を解消するための具体的な方策について探ることを目的としていた。 2年目までの研究で行ったATT推定の頑健性分析の強みは、パートやアルバイトについたり、失業したまま求職活動をするのではなく、あえて派遣で働こうとする人達の特性を把握できる点にあった。もしも、派遣を選ぶ人たちの正規就業できない理由が、派遣という制度を利用したことではなく、その人達の本来の特性に由来するのであれば、労働市場の二極化を解消するためには、派遣制度の改革よりも職業訓練の充実が効果的になる。今年度は、この点について昨年度の枠組みを活用した分析を行い、労働者の学歴や割引率・家庭属性などの様々な特性(confounder)が派遣就労を促す効果について掘り下げて検証した。その結果、派遣労働者が正規就業しにくい理由は、労働者の特性ではなく、派遣という枠組みを利用したこと自体に由来する可能性が高いことが分かった。 なお、平成25年度は、非正規労働者の働き方に影響を与えると考えられる最低賃金制度についても、計量経済学的な考察を行い、その成果をディスカッションペーパーとして公表した。
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