2013 Fiscal Year Research-status Report
世界化が途上国にもたらす影響の統計分析とそのためのデータベースの構築
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23730285
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
瀧井 貞行 西南学院大学, 経済学部, 教授 (60311320)
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Keywords | 経済政策 / インドネシア / 多国籍企業 / 経済統計 |
Research Abstract |
1 (統計データの収集と産業統計とのマッチング) インドネシア製造業の事業所レベルの統計データを用いて,パネルデータを作成とデータの整合性に関するチェックを継続している。これに加え,生産性等の分析の際に必要となるデフレータについて,利用可能な範囲で最も詳細な産業分類に基づいた卸売物価指数のデータベースを作成した。また,貿易に関する統計データについても,HS9または10桁分類の貿易データを,インドネシア標準産業分類に変換し,産業統計と整合的な形で分析が可能なようにデータベースを作成した。これをもとに,各産業の輸入浸透度や輸出志向度についての変数が利用可能となった。 2 (直接投資・貿易が企業規模にもたらす影響についての分析) 貿易の自由化は,大企業にのみ恩恵をもたらし,比較的小さい企業は市場シェアを失うことでマイナスの影響をこうむるという懸念がある。この点について,輸入浸透の拡大が企業規模にもたらす影響について計量経済学的分析を行った。同様の研究については,例えばBaldwin and Gu (2009)がカナダ製造業の分析を行っているが,本研究においては関税率の低下のみならず,輸入浸透度や輸出志向度の上昇が企業規模にもたらす影響について分析している。ここで得られた暫定的な分析結果は,次のことを示唆している。各事業所の輸出や原材料輸入状況を考慮した場合,大企業と中小企業との間に,輸入浸透の拡大がもたらす影響の違いは認められなかった。輸入浸透の影響は,企業規模ごとに異なるというよりもむしろ,原材料の輸入状況により異なるという結果が得られた。また,各産業の輸出志向度の上昇は,輸出を行っていない企業に対して相対的にマイナスの効果がもたらされるという結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通りの作業を行うことができた。ただし,分析結果をまとめた論文を仕上げる作業に遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた分析結果をもとに論文を完成させ,ジャーナルへの投稿を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入したい統計データが,次年度使用額の範囲内で購入できなかった。 翌年度分の助成金と合わせて,購入したかった統計データを購入する予定である。
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