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2012 Fiscal Year Research-status Report

児童労働に対する効率賃金仮説:経済発展への影響とシミュレーションを用いた政策分析

Research Project

Project/Area Number 23730288
Research InstitutionNagoya Gakuin University

Principal Investigator

菅原 晃樹  名古屋学院大学, 経済学部, 准教授 (80581503)

Keywords開発経済学 / 経済成長論 / 児童労働 / 効率賃金仮説
Research Abstract

昨年度に構築した「児童労働に対する効率賃金」が開発途上国の経済活動へ与える影響を分析するためのモデルを踏まえ、今年度はモデルの動学分析を行うことにより経済発展へどのような影響があるのかを調べた。児童労働は教育を阻害することにより経済発展に負の影響を与えることが多数の実証研究により支持されていることを踏まえ、本研究課題でも人的資本を考慮に入れた世代重複モデルによりその効果を調べた。
その分析結果を以下簡単に述べる。親世代の人的資本水準の低い国では家計の所得が低いので子供の栄養水準も低い。よって児童の生産性も低く企業が設定する賃金も低水準となる。さらに、教育投資に所得を回す余裕がないので、教育水準も低くなってしまい経済発展が遅くなってしまう。このように、親世代の低い人的資本水準が、子供世代の低い人的資本水準を引き起こしてしまうという貧困の罠が、「児童労働に対する効率賃金」の存在により発生する可能性がある。人的資本水準がある程度高くなると、児童労働の賃金も高く設定されることになり、教育投資も増加し経済発展が実現する。この研究成果を基に、最終年度である次年度はコンピュータを用いたシミュレーションを行うことにより、児童労働撲滅と経済発展を進めるための政策提言を行う。
最後に、本研究課題に関連するその他の研究成果を述べる。1.児童労働の禁止政策が児童労働の水準に逆効果を持つ可能性を分析した論文を英文査読付き学術誌に投稿し、改訂した後の再投稿の依頼が来た。改訂のち再投稿を行った。2.FDIが児童労働に与える影響を分析した論文を加筆・修正し英文査読付き学術誌に投稿した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度の「研究の目的」として、「構築したモデルを人的資本理論を用いて拡張し、動学分析を行うことにより経済発展への影響を調べること」を挙げた。これに関しては上で述べた研究業績の概要にある通り本年度中にほぼ達成した。
また、研究実施計画で挙げた以下の2つに関して述べる。1.「国内・海外の学会・セミナー等に積極的に参加する」という計画に関して、セミナーでの報告を1回・カンファレンスでの報告を1回行い、その他の学会へ複数回参加した。2.「政策に関する定量的な分析を行う準備として文献や研究資料の収集を行うこと」に関して、様々な図書を収集することにより、定量分析をするための知識の習得ができた。
これらを総合的に判断すると、本研究課題の達成に向けておおむね順調に進展していると言える。

Strategy for Future Research Activity

最終年度である次年度は、研究業績の概要で述べた成果を基にコンピュータを用いたシミュレーションを行い、児童労働撲滅と経済発展を進めるための政策提言を行う。その際、「児童労働に対する効率賃金」が現実に与える影響を考慮に入れて、企業の監視を行う政策や、特に教育の生産性を高めるインフラ整備や教育補助金・近年注目されているFood-For-Educationなどの教育政策などに関して、貧困の罠から脱出する方法として有効であるかどうかを分析する予定である。それらの研究成果を論文にまとめ英文査読付き学術誌への投稿を計画している。
また、本研究課題に関連するその他の児童労働の研究に関して、随時学会報告というを行うことにより意見を集める。それらに関しても論文にまとめて英文査読付き学術誌への投稿を行う予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

本研究課題に関する様々なコメントを集めるため、国内・海外への学会への参加・報告を予定している。また、セミナーやカンファレンスにも積極的に参加する予定であり、このための旅費が必要となる。加えて、本研究に関連する開発経済学・労働経済学・経済成長論・動学マクロ経済学等の書籍や研究資料の購入を予定している。最後に、本研究課題をまとめた論文に関する英文校正の費用と学術誌への投稿費用が必要となる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Variety expansion, preference shocks and Financial Intermediaries.2013

    • Author(s)
      Ohno Hiroaki and Kouki Sugawara
    • Journal Title

      Tokyo International University Discussion Paper Series

      Volume: No.20 Pages: 1--16

  • [Journal Article] マッチングフリクションが存在する下での有効需要分析による非自発的失業の変動2012

    • Author(s)
      菅原晃樹
    • Journal Title

      名古屋学院大学総合研究所 Discussion Paper Series

      Volume: No.91 Pages: 1--15

  • [Presentation] Variety expansion, preference shocks and Financial Intermediaries.

    • Author(s)
      菅原晃樹
    • Organizer
      日本経済学会 2013年度春季大会
    • Place of Presentation
      富山大学

URL: 

Published: 2014-07-24  

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