2012 Fiscal Year Research-status Report
人口構造変化が異世代間移転と経済成長に与える影響の理論的分析
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23730295
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
水島 淳恵 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (80536334)
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Keywords | 異世代間移転 / 経済成長 / 公共財の自発的供給 |
Research Abstract |
補助対象研究の2年度にあたる本年度は、異世代間移転・経済成長の基礎となる理論を幅広く構築・整理すること、既存の研究の調査、および内外学会および研究者を通じての情報交換を中心に研究をおこなった。 研究内容としては、まず、家計内公共財の自発的研究に関して、研究成果を "Non-Cooperative versus Cooperative Family" としてまとめた。この研究では、家計内公共財供給における家計内の代替性ではなく、ミクロレベルデータによって観察されるレジャーの家計内補完性を解析的に明らかにした点であり、家計内公共財供給は非効率的であるときの政策分析もあわせて実施した点である。研究成果は査読雑誌に投稿し、現在リバイス要求を受けている。次に、Human Infrastructureが経済発展に与える影響についての研究をおこない、暫定的結果を "Human Infrastructure, Child Labor, and Growth" にまとめた。この研究では、経済の初期条件が同じにもかかわらず、経済が発展していく国と停滞している国のメカニズムを解析的に明らかにし、その過程における児童労働の動学についても明らかにした。研究内容は、International Institute Public Financeの年次総会において報告を行い、有益なフィードバックを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
補助対象研究の目的は家計内で行われる私的移転および家計外で行われる公的移転をそれぞれの側面から解明し、人口構造変化が(1)異世代間移転を通じて所得再分配に与える影響および(2)経済成長・経済厚生に与える影響を明らかにし、人口構造変化のもとでの所得再分配政策を検討することである。 本年度は、その目的の1つである私的移転の研究をまとめ、査読付き雑誌に投稿することができた。また、経済成長に関する研究に関しては、結果を国際学会で口頭発表をおこない、論文改訂のための有益なフィードバックを得ることができた。 従って、研究計画に関してはおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
補助対象年度の最終年度にあたる本年度は、基本モデルに動学的視点を取り入れ発展させてゆく。モデル拡張のアイデアとしては、人口構造変化を示す指標を取り入れ、まず、人口構造変化が家計内公共財供給に与える影響を解析モデルを用いて静学的に明らかにする。その後、基本モデルを動学的視野を取り入れて発展させてゆく。モデル拡張のアイデアとしては、人口構造変化が家計内移転に与える影響を明らかにするために、親から子供への家計内レントの総額を期待寿命に依存させ、モデルを展開してゆく。 最終年度は、私的移転の側面だけではなく、公的移転に関する既存研究の調査・研究もあわせて行ってゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度の研究費の使用計画は下記を予定している。 * 学会・研究報告・研究打合せのための出張費 59.1万円 * 学会参加費・投稿費 3.6万円 * PCソフト 8.5万円 * 記憶メディア 0.8万円 * HP作成関連費 6万円 * NAS 3万円 * 英文校正費 9万円
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