2011 Fiscal Year Research-status Report
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23730301
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
生方 雅人 釧路公立大学, 経済学部, 講師 (00467507)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 高頻度データ / Realized variance / Implied variance / リスクマネジメント |
Research Abstract |
平成23年度では、主に以下の3点についての研究をおこなった。第一に、高頻度データから計算されるRealized variance (以降、RV)と大阪大学金融保険センターのVXJ indexに代表されるModel-free implied varianceを用いて、日経225株価指数のVariance risk premium(以降、VRP)を算出した。VRPはforward lookingな変数であるので、金融資産等に対して予測力を持つか否かについて検証をおこなった。その結果、日経225株価指数のVRPは日経225株価収益率、クレジット・スプレッド、景気動向指数CIに対して、統計的に有意な予測力を持つことが明らかとなった。研究成果は国際会議等で報告を行い、現在は査読付き論文誌への投稿中である。第二に、RVを日経225オプションの価格付けに応用する研究について様々な改訂を行った。これまで得られた結果は、市場のミクロ構造に起因するマイクロストラクチャー・ノイズと市場が閉まっている時間帯を考慮したRVをモデル化した場合、両者を考慮しないRVの時系列モデルやARCH型モデルに比べて、より望ましいパフォーマンスを持つということである。現在は査読付き論文誌に投稿し、引き続き論文の改訂中を行っている。第三に、RVの計測手法は多岐に及ぶ。そこで、最適な時間間隔に基づいたRV、サブサンプリング法によるRV、カーネル法によるRV、スケーリング法によるRVの具体的な計算法や、RVをリスクマネジメントへ応用した研究、今後の研究課題についてまとめたサーベイ論文を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高頻度データ・時系列分析によるリスクマネジメントに関連するトピックスの1つとして、モデルに依存しないボラティリティの推定量であるRealized varianceとImplied varianceを使って算出されるVariance risk premium(以降、VRP)は近年盛んに研究が進められている変数である。しかしながら、日本市場にVRPを応用した分析はこれまでほとんどなされていなかったと思われる。本研究では、日本市場におけるVRPの実証分析を行い、現段階でいくつかの結論を導き出すことができたと考えられる。今後はこの研究についてさらなる拡張をする次第である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度から進めている日経225株価指数のVariance risk premium(以降、VRP)を算出し、金融資産等に対して予測力を持つか否かについて検証をおこなった実証研究を拡張する。具体的には、マーケット単位のVRPだけではなく、個別銘柄単位でのVRPを算出し、それらがマーケット単位のVRPと共に、将来の金融資産に対してどれくらいの予測力を持つかについて検証を行う予定である。本研究では新たに、個別銘柄ごとの高頻度データからRealized varianceを、株券オプション価格からModel-free implied varianceを推定し、個別銘柄単位でのVRPについて分析を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分析にあたり1年分の高頻度データとデータを保存・加工・分析するための備品を購入する予定である。また、研究成果を報告するための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)