2013 Fiscal Year Research-status Report
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23730310
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
鈴木 史馬 明星大学, 経済学部, 准教授 (60583325)
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Keywords | 資産価格形成 / 株式リスクプレミアム / 大災害リスク |
Research Abstract |
「大災害リスクの資産価格・消費平準化行動に与える影響」をテーマとする本研究は、2つの研究プロジェクトを遂行してきた。歴史的大災害の資産価格・消費平準化行動に与える影響の(1)理論的考察と(2)実証的考察である。(1)理論的考察としては、次の研究を行った。[1] Saito and Suzuki (2014)において持続的な大災害リスクを前提とすると、大災害顕在化直後に株価高騰が生じることを理論的に示し、その長期的な株式リスクプレミアムへのインプリケーションを分析した。この論文は査読を経てMacroeconomic Dynamics誌に採択された。[2] Suzuki (2014)では大災害顕在化時の不確実性の高まりを考慮したモデルを考慮すると大災害顕在化直後の株価高騰は必ずしも生じず、株式リスクプレミアムを高めると同時に、安全資産利子率を引き下げる効果があることを示した。この論文は査読を経たうえでEconomics Letters誌に採択された.(2)実証的考察としては、次の研究を行った。[3] Suzuki (2012)では、第二次大戦期のナチスドイツ占領下諸国で観察されたGDP、消費の持続的低下と株価高騰は、定量的な観点からも、整合的であることを示した。この論文は、査読を経てResearch in Economics誌への採択が決まった。さらに、[4] これまでの研究で注目した第二次大戦期金融市場の分析を日本に絞り実証的な考察を行っている。これまでに日次データセットの構築が終了し分析を行っている。この中間結果として鈴木(2012)をまとめ明星大学の研究紀要に発表した。引き続き分析を行い、国際査読誌への投稿を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書執筆段階で計画した研究についての具体的な進捗がみられ、論文が国際的学術雑誌より公刊されるなど具体的な成果があった。以上の理由からおおむね順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
[4]として説明したように日本についての第二次大戦期金融市場の分析は、具体的には、戦時期の新聞の情報から、日次株式データセットの構築を行った。これにより、戦争の推移に関する情報に対して投資家はどのように将来に対する見通しを形成したのかを考えていく。また、これまで説明した研究は資産価格形成を対象としている。資産価格消費平準化行動に注目した研究についても行いたい。これまでにBarro-Urusuaによる20世紀の消費・GDPデータセットとDMSデータセットとの接合を行い研究を行うこ。これらの点に関して、当初計画していた研究期間では完了しなかったため、研究期間を1年間延長して行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでの研究では主に理論研究を進めてきたため当初予定よりもコンピュータなどの物品を購入する必要性が低く予算を使う必要性が低かった.そのため次年度使用額が生じた. コンピュータ等の物品を購入することを計画している.
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