2013 Fiscal Year Annual Research Report
非伝統的金融政策の実施によるマクロ経済効果に関する比較実証研究
Project/Area Number |
23730314
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
英 邦広 中京大学, 経済学部, 准教授 (40547949)
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Keywords | 非伝統的金融政策 / 金利の期間構造 / 時系列分析 / 市場の期待形成 / 実体経済 / 中央銀行 |
Research Abstract |
本研究は、主要国の中央銀行 (米国、英国、日本)が米国で起きたリーマンショック後に矢継ぎ早に採用した「非伝統的金融政策」の政策運営に関して、実証的アプローチを用いて検証することが目的である。特に、非伝統的金融政策の枠組みを理論的、制度的に整理し、「市場の期待形成」と「実体経済」への影響を分析することで先行研究との差別化を図り、金融政策運営の研究の発展に寄与することを目標としている。 主要国の中央銀行が伝統的金融政策から非伝統的金融政策へと舵を切った背景には、米国の住宅市場のバブル生成と崩壊、そして、それを取り巻く金融商品が大きく関係していた。研究1年目は、「I.論文のサーベイ」と「II.経済状況の確認」を行うのと同時に、日本銀行が実施した金融緩和政策が市場の期待形成にどのように影響を与えたかを分析した。研究2年目は、「III.中央銀行の政策判断の確認」と「IV.分析に関するデータ収集」を行うのと同時に、米国連邦準備制度理事会による金融緩和政策が市場の期待形成にどのような影響を与えたかを分析した。 研究最終年度である3年目は、1年目と2年目で確認した内容やデータを基に、欧州中央銀行が金融緩和政策に関する政策声明を公表したことで欧州地域の市場 (ドイツ、フランス、イタリア、オランダ) の期待形成に影響を与えたか、それとも、影響を与えなかったかを計量経済学のモデルを使用して分析し、また、同時に、どの程度の影響を与えたかも分析した。 その際、2007年に欧州地域で起こったIKBドイツ産業銀行の経営危機の公表とパリバ傘下のヘッジファンドの顧客からの引き下ろし要求の停止といった欧州地域の金融ショックの影響も含めて検証を行った。
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