2013 Fiscal Year Annual Research Report
企業情報の伝達プロセスの多様性と株価形成に関する実証研究
Project/Area Number |
23730318
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
阿萬 弘行 関西学院大学, 商学部, 教授 (70346906)
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Keywords | ファイナンス |
Research Abstract |
本研究全体としては、企業情報の流入が株価形成に及ぼす影響について、情報伝達プロセスの多様性の観点から実証的に分析してきた。具体的には、学内論集掲載予定の論文では、準備的な考察として、ディスクロージャー情報とマスメディア情報が、日次の株式リターン(の絶対値)に及ぼす効果を計測し、両方の情報が株価変化を促進する結果を得ている。また、共同研究の中で行った実証分析では、ディスクロージャー情報とマスメディア報道が、日次レベルの株価ボラティリティに与える影響についての研究を行った。現時点での研究結果は、ディスクロージャー情報の流入が有意にボラティリティを高める効果をもつ一方で、新聞報道で計測したマスメディア情報の流入はボラティリティを低下させるという対照的なパターンを得ている。このことは企業情報が異なる媒体を通じて伝達される場合、その株価変動に及ぼす効果の方向性もまた異なる傾向を示しており興味深い結果となっている。最終年度である本年度は、この研究を内生性問題等の観点から精緻化、改訂し、国際専門誌へ投稿中である。また、多様な情報伝達経路の一つとして、TV報道が市場流動性に及ぼす影響について共同研究を行った。現在までに、TV報道情報の流入は、デプスの拡大をもたらすと同時に、ビッドアスクスプレッドの縮小をもたらすという結果を得ている。最終年度である本年度は、研究成果を日本ファイナンス学会やセミナー等で発表し、専門学術誌への投稿へ向けての改訂作業を行った。
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