2012 Fiscal Year Research-status Report
分権化時代の自発的な道州形成に関する研究-経済実験とシミュレーションによる接近-
Project/Area Number |
23730319
|
Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
竹本 亨 帝塚山大学, 経済学部, 准教授 (60551512)
|
Keywords | 地方財政 / 経済実験 |
Research Abstract |
先行研究では、合併する組み合わせは外生的に与えられていたが、現実にはどこと組むかということ自体が各自治体の行動によって内生的に決まる問題である。そこで、本研究では各都道府県をプレイヤーとする提携形成ゲームによって、自発的な道州形成を分析する。 全体計画の中で本年度以降に計画した内容は次のようなものである。これまでの研究で算出した統合効果を利得とした提携形成ゲームについて、複数の均衡概念に対応した提携形成ゲームについて経済実験を行い、どのような均衡概念が選ばれるのかを明らかにし、合併における人々の意思決定のメカニズムを分析する。さらに、明らかとなった均衡概念を利用して、財政調整の制度変更などによって合併がどのような影響を受けるかシミュレーションする。 24年度も引き続き、京都産業大学の設備を借り、同大の学生を被験者として経済実験を実施した。その実験では、3人が一組となり予測される(3つの自治体の)統合効果を利得とした提携形成ゲームをプレーした。昨年度の実験結果を基にした分析を報告した日本経済学会において討論者から指摘された点を考慮し、実験方法を改善した。その結果、強ナッシュ均衡戦略が選ばれやすいということがわかった。 本年度は帝塚山大学でも経済実験を行った。本学での経済実験は初めてのため、予定した被験者数を集めることができなかった。そのため、実験結果を分析できていない。被験者募集の方法を改善して25年度も引き続き経済実験を行い、分析に十分な数の実験結果を得られるようにする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体構想の(2)である経済実験によって提携形成ゲームにおいて選ばれる均衡概念がほぼ明らかになった。頑健性を確認するため帝塚山大学では引き続き経済実験を行うが、25年度は明らかとなった均衡概念を採用した場合のシミュレーションという全体構想の(3)に進む予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
全体構想の(2)に関する経済実験を早期に終了し、全体構想の(3)に進む。そこでは、全体構想(2)で明らかとなった均衡概念を採用した場合のシミュレーションを行う。財政調整制度である地方交付税制度を変更した場合に合併がどのような影響を受けるのかをシミュレーションで明らかにする。さらに、その場合の統合効果を利得とした提携形成ゲームを経済実験で追試し、理論分析の結果を補強する。分析する制度変更については、オーストラリアやロシアといった海外の制度も参考にする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
経済実験の実施のための費用を中心に研究費を使用する計画である。24年度は23年度よりも多くの経済実験を実施できたが、次年度は帝塚山大学での経済実験を軌道に乗せ、24年度以上の回数を実施していく予定である。
|
Research Products
(6 results)