2012 Fiscal Year Research-status Report
中国計画経済期(1949-78年)の政府―企業間関係に関する事例比較研究
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23730321
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
加島 潤 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 准教授 (50463899)
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Keywords | 経済史 / 東洋史 / 中国経済 / 国際研究交流 / 中国 |
Research Abstract |
第2年度にあたる平成24年度は、中国の計画経済期(1949-1978 年)における政府―企業間関係を通時的・地域間比較的視点から検討するという研究計画全体の方針に沿って、当初の予定通り、平成23年度に収集した企業史および行政関係資料の精査と検討、およびワークショップ・セミナーへの参加・報告を中心とした対外的な研究交流を進めた。また、これらの作業と並行して、現地調査を含む資料収集および最新の研究動向へのサーベイを継続した。 具体的には、まず国内外での研究情報の収集、研究者間ネットワークの構築および研究成果発信の一環として、2012年7月28-29日に中国上海市の華東師範大学中国当代史研究中心・京都大学人文科学研究所現代中国研究中心の主催する「中国当代史研究工作坊(第1回)」にて本研究の基本構想に関する報告を行った(別途予算)。同ワークショップでは関連分野における一線級の中国人研究者からコメントを得ることができたのが収穫である。また、9月29-30日に島根大学での中国経済史ワークショップ、および11月13日には東京大学社会科学研究所セミナーにて本研究の全体的な枠組みに関する報告を行い、通時的比較のスパンや国際比較の必要性について参加者より貴重な指摘を受けた。 現地調査については、これまでの資料収集状況および先行研究動向を踏まえて、とりわけ(1)企業金融に関する制度の変遷、(2)省(直轄市)以下の県レベルの政府―企業間関係に焦点を絞り、比較的アクセスしやすい中国上海市の上海市档案館および上海市内の嘉定県档案館にて集中的に資料調査を行った(2012年9月2-8日および2013年2月20-24日)。その結果、企業金融制度に関するまとまった一次史料を閲覧することができ、県レベルの政府―企業間関係についても現地にしかない貴重な資料を複写することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り、平成23年度に収集した資料の精査と検討、ワークショップ・セミナーへの参加・報告を中心とした対外的な研究交流、および現地調査を含む資料収集および最新の研究動向へのサーベイを継続することができた。とりわけ企業金融制度に関して重点的に調査を行い理解が深まったこと、および県レベルの政府―企業間関係を分析する材料を入手できたことは、研究計画全体の遂行上重要な進展であると言える。 課題としては、初年度に目途をつけたモデル企業・地域についてのフォローアップ調査が十分展開できなかった点が挙げられる。次年度での現地調査の実施、あるいは現在入手できている資料に応じた分析枠組みの調整などを含めて、引き続き検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度にあたる平成25年度は、これまで収集した政府―企業間関係に関する資料の分析・考察に重点を置き、同時に現地調査を含めた資料収集および研究動向のサーベイを補完的に行っていく。とりわけ、前年度十分に展開できなかった各モデル企業・地域のフォローアップ調査については、分析・考察作業の進捗状況を勘案して適宜実行していく予定である。 研究成果の公表については、学術雑誌への論文投稿のほか、国内外の学会・研究集会での報告を視野に入れている。具体的には、2013年8月にイギリスのUniversity of Yorkにおいて開催予定の研究集会に参加し、本研究の成果の一部について報告する計画である。また条件がそろえば、海外の研究者を招いて本研究の成果を検討する研究集会を開催する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費は、当初予算額500,000円に、平成24年度未使用額276,340円を加え、総額776,340円となる見込みである。なお、平成24年度未使用額が生じた原因は、研究上の必要に応じて当初予定していた現地調査計画を一部変更したことによる。 使用内訳は、物品費150,000円(文献資料・研究遂行上必要な器具の購入)、旅費500,000円(現地調査・研究集会等参加)、人件費・謝金50,000円(資料整理謝金・原稿校閲等)、その他76,340円(資料コピー等)を予定している。前年度からの繰越分は、主に前年度に十分行うことができなかった現地調査のための旅費、あるいは国際的な研究集会の出席のための旅費に充当される。
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