2013 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀のロンドン-地方都市間のビジネス・ネットワークの形成に関する事例研究
Project/Area Number |
23730327
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
熊谷 幸久 琉球大学, 法文学部, 講師 (20570253)
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Keywords | 東インド貿易 / 中国貿易 / ロンドン / シティ / グラスゴー |
Research Abstract |
研究最終年度となる平成25年度は、本研究の目的である19世紀のスコットランドとロンドンとの間のビジネスネットワークの再現に関する研究成果をまとめると共に、その成果の公刊を目指して論文の執筆を行った。この論文は論文集の一部として平成26年度中に出版される予定である。 本研究では、当時のグラスゴーを代表する商社・製造業者であったジェームズ・フィンリイ商会を事例として取り上げた。そして、この商会に関する先行研究ではほとんど利用されてこなかった通信記録などの史料を利用しながら、1820年代から30年代にかけての同商会による東インド貿易を調査・分析した。これにより、公式の社史の本文中ではほとんど触れられていないが、当時のJ・フィンリイ商会による東インド貿易において重要な役割を果たしたのが、同商会と資本関係にあったロンドンのフィンリイ・ホジソン商会であったことが判明した。つまり、J・フィンリイ商会は、フィンリイ・ホジソン商会を通して、ロンドンのシティが提供する海運や貿易金融などの海外貿易に必要なサーヴィスにアクセスしていた。また、J・フィンリイ商会の主要な共同経営者であるK・フィンリイは、ロンドンのビジネスサークルにおける地位を確立していたフィンリイ・ホジソン商会のジョン・ホジソンを介することで、シティ内部の貴重な情報も接することができた。このことがK・フィンリイの当時のグラスゴーを代表する政治家としての影響力につながり、1829年から33年にかけての東インド貿易開放運動の成功にも結びついたと考えられる。
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