2011 Fiscal Year Research-status Report
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23730340
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
真保 智行 山形大学, 人文学部, 准教授 (70533355)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 合併 / 研究開発 / 特許 / 組織マネジメント |
Research Abstract |
日本企業は1970~80年代と人材や技術といった内部資源の活用にもとづく内部成長を志向してきた。その後、バブル崩壊後は長期低迷に入ったが、2000年代に入ると再成長に局面を迎えている。それと同時に、日本企業は内部資源の活用だけでなく、外部資源を活用するためにM&Aや提携を積極的に進めている。例えば、1990年代後半には日本の自動車メーカーは外国企業との資本提携を行い、その競争力を回復させていることは記憶に新しい。 特に、近年ではハイテク産業を中心として、技術獲得や技術開発を目的としたM&Aや提携が多くなってきている。こうした背景には、研究開発シナジーを働かせたいという企業の意図がある。研究開発シナジーとは、異なる企業が合併することによって、異なるR&Dインプットを新しく組み合わせることが可能となり、以前は実行不可能なプロジェクトが実行可能となり、新しいR&Dアウトプットが生じることを意味する。ただし、複数の企業が合併すれば、自然と研究開発シナジーが生じるわけではなく、そうした研究開発シナジーが生じるには、資源の再配置が必要だと指摘されている。すなわち、合併後に2つの組織をそのままにしていては、研究開発シナジーは生じることはなく、組織の統合を図ることが求められる。 昨年度は、三菱化学の合併を対象に、特許データを発明者レベルで集計し、分析を行った。そして、その内容を組織学会で報告した。分析結果からは、やはり研究拠点を移動した発明者の特許出願件数は低いことが分かった。ただし、そうした発明者は相手企業の特許をより多く引用する傾向があり、それがシナジーにつながっていると解釈できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的では、発明者単位の分析、統合のプロセス、合弁会社の設立への応用という3つの目的がある。昨年度は発明者単位の分析、および統合のプロセスを考慮した研究を進め、学会報告を行うことができた。よって、達成度としては順調に進展していると評価できる。今後は合弁会社の分析まで進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
学会では、発明者の研究分野に注目すべきというコメントを頂き、それを修正しているところである。また、外国特許の利用も考慮しており、PATSTATデータベースの使い方を確認する作業を行った。よって、今後は米国特許とのマッチングを行いながら、より精緻な分析をおこなっていく予定である。 また、提携に関しては、旭ダウの分析を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
不足分のデータベースの購入、業界に関する調査資料の購入、学会への参加などがメインの出費となる。
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Research Products
(1 results)