2013 Fiscal Year Annual Research Report
組織の自律性と株主の制禦:企業の法的形態と組織の相互作用に関する比較経営学的研究
Project/Area Number |
23730343
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 剛 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (00334300)
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Keywords | 経営組織 / 会社形態 / 株式会社 / コーポレート・ガバナンス / 国際情報交換 韓国・中国 |
Research Abstract |
本研究は、株式会社や合同会社のような企業の法的形態と組織のそれぞれの発展とその相互関係の検討を通じて、経営組織を効果的に機能させることができるような法的形態を探求することを目的としている。 平成25年度においては、これまでの分析を踏まえて、日本における企業形態の発展と組織との関係について、なぜ有限会社が1940年の導入後急速に発達したのか、またそれ以前に合名・合資会社が減少したのはなぜかを計量分析と歴史的資料の分析から明らかにしようとした。そこで明らかになったことは、有限会社が普及した理由は、戦時体制において、零細な企業を合併させ、取締役を中心としてその経営を一元化し、これにより経営の合理化を進めていくためであったこと、一方で合名・合資会社が減少していったのは、この時期進展していた産業合理化にとって、合名・合資会社は適切な形態ではなかったためであることであった。 以上の研究が示しているのは、日本において、組織が発展し、経営の近代化・合理化の必要性が高まってくると、それに応じて合名・合資会社から有限会社への移行が見られるという事実である。このような意味で、組織と企業の法的形態の相互作用の一端を明らかにしえたものと考えている 一方で、韓国や中国、ドイツ等との比較研究については、平成25年度中に韓国については『朝鮮総督府統計年報』他の植民地期の資料の収集と整理を行い、いくつかの予備的な検討は行ったが、まだ十分ではない。またドイツについても出張の際に資料収集を行ったが、整理にはいたっておらず、中国についても同様である。今後、継続して研究を進めて行きたい。 また並行して、現代の組織と企業の法的形態について考えるために、企業システムや企業に対する法的規律と組織との関係について検討を行った。これについては、とりわけ企業の製品リスクとの組織との関係についていくつかの研究成果が得られている。
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Research Products
(7 results)