2011 Fiscal Year Research-status Report
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23730350
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 健嗣 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (00408692)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | コーポレートファイナンス / 経営財務 / ファイナンス |
Research Abstract |
本年は株式発行の研究について,公募増資の観点から検証を行った.公募増資については2本の研究に取り掛かっている.1本目の論文は,名古屋大学の加藤英明教授と共著で,「再考公募増資時のアナウンスメントリターン」論文である.1980 年代以前は公募増資時のアナウンスメントリターン(AR)は正であるが,1990 年後半以降のサンプルでは米国と同じように負となることがわかった.本研究は,こうした公募増資のAR の変化はなぜ生じているのかについて,これまで公募増資のAR の決定要因に関する既存研究によって説明されてきた仮説に加え,新たに利益配分ルール仮説,ブックビルディング仮説,自己売買仮説をもとに検証していた.本論文は神戸大学ディスカッションペーパーに登録されている. 2本目は,名古屋大学の加藤英明教授とTexas Tech UniversityのJohn W. Cooney教授との共著で"Does Divergence of Opinion Affect Stock Returns? Evidence from Japanese SEOs"論文である.この論文は,空売り制約が深刻な企業は,公募増資のアナウンスメント日から価格算定日までにネガティブな情報が十分に株価に反映できず,公募増資企業は過大評価された株を投資家に販売し,発行日に大きく下落するという内容である.これは,Miller (1977)の意見の不一致モデルと整合的な結果であった.この論文は現在SSRN上でワーキングペーパーとして公表されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は論文を作成する期間と考えているため,査読付き論文への投稿はない.しかし,投稿に向け,公募増資に関連する論文を2本執筆し,それぞれワーキングペーパーとしてまとめている.概ね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,ワーキングペーパーをブラッシュアップし,国際学会での発表を行い,その後国際的なジャーナルに投稿する予定である.また,この2本以外にも,データの収集が終了するテーマもあり,今後こちらの論文も作成していく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,現在のワーキングペーパーを国際学会で発表し,ブラッシュアップし,投稿することに主に専念する.また,公募増資以外の株式発行に関連するプロジェクトに関しても本格的に取り組んでいく予定である.
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