2012 Fiscal Year Research-status Report
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23730350
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 健嗣 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (00408692)
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Keywords | 公募増資 / 第三者割当増資 / エクイティファイナンス |
Research Abstract |
平成24年度執筆を行った論文は6本(うち海外査読雑誌1本,国内査読雑誌2本,国内紀要1本,ワーキングペーパー2本)である.海外査読誌では国際的にもFinance & Accounting分野のトップクラスのジャーナルであるJournal of Business Finance & Accounting誌に掲載された.以下では,代表的な論文の概要について説明していく,「増資インサイダー問題と資金調達コスト」論文では,増資インサイダー問題が公募増資時の資金調達コストに及ぼす影響について分析を行っている.主な結果は,増資インサイダー問題が発覚した企業は平均で9%ほど多くのコストを支払っており,こうした問題が企業に多大なる損失を与えていることを明らかにしている.この論文は証券アナリストジャーナル賞の受賞が内定している."Do the use of proceeds disclosure and bank characteristics affect bank underwriter's certification roles?"論文は,公募増資時の主幹事に着目し,銀行系主幹事の参入により公募増資時の資金調達コストに影響を及ぼしたか検証を行っている.銀行の融資と主幹事を同時に行っている場合,市場に対し良いシグナルを発し調達コストが小さくなるが,資金使途が融資返済に充てられる場合はそうしたシグナルが生じないことを明らかにした.「日本のエクイティファイナンスのあゆみ」論文は,1960年代から2000年代における,公募増資,第三者割当増資,割当増資についての制度的変遷をまとめている. いずれもエクイティファイナンスの包括研究には必要な研究といえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,日本のエクイティファイナンスについての包括的することにある.日本のエクイティファイナンスは,公募増資,第三者割当増資,株主割当増資,新株予約権付社債が主要な手段である. 平成24年度はエクイティファイナンスの中でも最も規模が大きい公募増資を中心に研究に,歴史,発行費用(アナウンスメントリターン,ディスカウント率,引受手数料率),発行後の長期パフォーマンス,資金使途の研究をおこなった. 平成25年度は第三者割当増資,新株予約権付社債の歴史,発行費用(アナウンスメントリターン,ディスカウント率,引受手数料率),発行後の長期パフォーマンス,資金使途の研究を続けてまいりたいと考えている.第三者割当増資に関しては,歴史,発行費用,長期パフォーマンスにおいて概ねデータも揃い,分析段階にある. こうした進捗状況は,当初計画していた研究計画よりも若干速いペースで進んでいることが考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は第三者割当増資,新株予約権付社債の歴史,発行費用(アナウンスメントリターン,ディスカウント率,引受手数料率),発行後の長期パフォーマンス,資金使途の研究を続けてまいりたいと考えている. 最終的には,エクイティファイナンスの研究をまとめ,社会に還元すべく本の出版を行いたいと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,データ入力費用(新株予約権付社債,自己株取得,それぞれのエクイティファイナンスのタイミング),研究成果の海外発表,海外の研究者との共同研究のためにかかる費用を中心に研究費を利用する予定である.
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[Book] 有斐閣2012
Author(s)
橘川武郎, 島本実, 鈴木健嗣, 坪山雄樹, 平野創
Total Pages
310
Publisher
出光興産の自己革新