2012 Fiscal Year Research-status Report
ベンチャー企業支援者のインセンティブ要因に関する研究
Project/Area Number |
23730352
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
丹生 晃隆 島根大学, 産学連携センター, 准教授 (00432617)
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Keywords | 国際研究交流 / 多国籍 |
Research Abstract |
ベンチャー企業の成長においては、創業期の様々な経営課題を克服し、事業拡大に邁進する経営者の起業家精神が何よりも重要な鍵を握っている。しかしながら、これらのベンチャー企業の経営者は市場環境にも左右され、様々な創業リスクにも晒されている。新事業の立ち上げを支援し、創業リスクを低減させることは、企業の成長を通じた雇用機会の提供やイノベーションの創出にも繋がり、ここに政策的な関与の意義がある。本研究では、ベンチャー企業の育成に関わる支援従事者のうち、ビジネスインキュベーション施設に配置・配属されているインキュベーションマネジャーに焦点を当てて、これらの支援従事者が効果的にベンチャー企業を支援するためにはどのような方策が必要なのか、雇用形態や職務権限、賃金体系はどのように設定すべきか等、インセンティブ要因に関する分析を行った。平成24年度は、昨年度に実施したインキュベーションマネジャーを対象とした質問票調査結果の分析、ならびにヒアリング調査を進め、以下のことが明らかになってきた。 1)支援従事者は必ずしも給与や昇給・昇任等、金銭的インセンティブ要因によっては左右されない。 2)金銭的インセンティブ要因よりも重視されるのは、支援業務の内容や権限である。 3)支援従事者としてのキャリアやプロフェッションとしての考え方について、年齢や雇用形態によって差異がある。 ベンチャー企業の育成のためには、効果的な支援活動が不可欠であり、これらの支援者に対する政策的な支援も求められている。本研究では、支援者のインセンティブ要因を分析することにより、有効なベンチャー企業支援施策の立案と実施に向けた政策的含意を提示することを目的とし、研究を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ベンチャー企業支援者のインセンティブ要因を明らかにするため、「研究実績の概要」に記載の通り、平成23年度にはインキュベーション施設に配置されている企業支援専門家を対象とした質問票調査を実施し、平成24年度は調査結果の分析とヒアリング調査を進めてきたところである。 本研究代表者は、研究開始段階での仮説として、支援者のインセンティブ要因に関して「金銭的要因」に注目していた。調査結果及びヒアリング調査等から示唆される「必ずしも左右されていない」という現状は、金銭的要因がプラスとマイナスに働く部分があることが新たな仮説として浮かび上がってきた。この点を解明するため、補助事業期間を平成25年度まで延長をいただいたところである。 研究期間の変更はあるが、支援者のインセンティブ要因の解明に向けて、研究自体は進められており、以上から「おおむね順調に進展している」と判断するところである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度となる平成25年度は、支援者のインセンティブに関わる金銭的な要因について、より深堀りしたヒアリング調査を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の残額については、支援者に対するヒアリング調査旅費に充てる予定である。
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