2012 Fiscal Year Research-status Report
グローバルイノベーション戦略における多国籍企業本社と子会社の役割に関する研究
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23730377
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井口 知栄 慶應義塾大学, 総合政策学部, 准教授 (20411209)
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Keywords | 国際研究者交流 / 米国:英国 / グローバル・イノベーション戦略 / 研究開発 / 多国籍企業 / 在外子会社 / ASEAN / 競争優位 |
Research Abstract |
本研究ではアジアをホスト国とする日系企業を対象とし、多国籍企業の本社と在外子会社のグローバル・イノベーション戦略の役割の本質をとらえるために、在外子会社の研究開発能力の視点を軸に、1)研究開発活動における在外子会社および本社の役割を明らかにし、2)在外子会社での協働研究開発活動の内容を明確にし、3)協働研究開発活動がいかに多国籍企業グループおよび在外子会社のイノベーション戦略および技術発展に貢献しているのか、4)グローバル競争優位の新たな源泉となるべくホスト国での研究開発活動と子会社発展理論との関係を明らかにすることを目的としている。 当該年度においての研究計画では、1)先行研究・文献サーベイ、2)専門的知識提供・交換、3)アジア諸国でのインタビュー調査、4)研究途中経過の論文発表を予定していた。計画していた1)~4)の2)を除いた項目をほぼ計画通りに実施することができた。 2) は当該研究の内容に合致するアメリカの研究者を招聘して論文の精緻化を高めることを目的として平成24年度の実施を予定していたが、相手側の事情で時期をずらし、平成25年度に繰り越し5月に実施することが決定している。 当該年度においては、国際学会、国内学会、韓国での学会で研究を発表する機会を得られ、多くの研究者による様々な角度からの意見とコメントを頂き、今後の研究成果の質の向上に役立てていくことができる成果が得られたと考えられる。アジア各国でのインタビューによるデータや日本語と英語の文献レビュー、日本語と英語のジャーナルの文献レビュー、日本語でしか出版されていないデータベースによる当該研究の研究内容の希少性と重要性を国内外での学会発表や論文の査読コメントを通じて再確認することもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度において、1)先行研究・文献サーベイ(日系企業のデータベースの整理)、2)専門的知識提供・交換、3)アジア諸国でのインタビュー調査(12月シンガポール&マレーシア、2月タイ&インドネシア、3月フィリピン)、4)研究途中経過の発表(1.国際ビジネス研究学会関東部会、2.AIB Washington D.C.、3. AJBS Washington D.C.、4.IFEAMA Nanjing、5. KAIB South Korea、6. EIBA UK)を計画しており、2)以外は予定通りに達成できた。予定していた2)の国際研究者交流による専門的知識提供は、研究者の招聘の時期を平成25年度5月に変更し達成する予定である。当該年度は、特にデータベースとインタビューデータから、論文執筆時の統計分析に用いるデータの整理に力を入れ、このデータを用いた論文を平成25年度に完成されて発表をしていく予定であるので、おおむね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度において、次年度への繰越金が356,912円発生している。当該年度で予定していた国際研究者交流による海外からの研究者招聘の時期が相手先の事情で次年度に変更することになり、繰越金は平成25年度5月に実施する研究者招聘に使用する予定である。 平成25年度の研究計画・方法として以下を予定している。 1)先行研究・文献サーベイ、2)国際研究者交流による専門的知識提供(当該研究の研究内容の質の向上と新たな視点を取り入れ、重要なインプリケーションを見出すために予定している国際研究者交流は重要な役割を果たすこととなり不可欠である。)、3)アジア諸国でのインタビュー調査(8月、2月に予定)、4)研究途中経過の発表(11月EAMSA、12月EIBAにて報告予定)。 当該年度に力を注いだデータ整理によるデータと、UNCTADから入手した資料等を用いて、様々な視点から研究内容の精緻化に努め、成果物となる国際的に発信できる論文を英語で執筆していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当年度の繰越金を合わせた次年度の研究費の使用計画項目は、以下に分類することができる。 1)先行研究・文献サーベイのために研究開発分野に関する図書、子会社発展に関する図書、業界およびホスト国に関する調査報告書入手、多国籍企業の子会社のホスト国における活動に関するデータベースの購入に使用。2)当該年度で予定していた国際研究者交流による海外からの研究者招聘の時期が相手先の事情で次年度に変更することとなったため、繰越金を専門的知識提供に使用(アメリカからJohn A. Cantwell氏を招聘し、当該研究への助言を頂く。)。3)アジア諸国でのインタビュー調査によるデータ収集のために使用。4)研究途中経過の発表(11月EAMSA、12月EIBA)のために使用。
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