2011 Fiscal Year Research-status Report
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23730383
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
小橋 勉 愛知工業大学, 経営学部, 准教授 (20324444)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 合弁 / 組織間関係 / 学習 / 長期性 / 多様な主体 |
Research Abstract |
NUMMIの長期的展開を学習という視点から解明すべく、研究を進めた。その中で、平成23年度は、組織間学習に関する既存理論を検討し、ケース分析の基盤とすべく、様々な議論を整理しながら多面的に捉えるための枠組みを理論的に構築することを主として行うことを目的としていた。 その前段階として、NUMMIの成立に至る組織的プロセスの解明を試みた。NUMMI形成までの道のりは平坦なものではなく、組織内があいまい状況に陥る、状況把握に際して多義性が生じる、といった経緯を経たことを明らかにし、共著書の出版という成果を残した。 組織間学習の理論的枠組みに関しては、既存研究が二者間という視点での組織間関係の捉え方に立脚していたのに対して、本研究では、子会社と、それに出資している各親会社という、多くの主体で捉えるという視点を提供した。これによって、多用な学習の展開を捉えることが可能となると考えられるためである。この中で、親会社から合弁への知識の移転、一方の親会社から合弁を経由しての他方への知識の移転、合弁子会社自身の発展といった、様々な学習が生じたことが明らかとなった。この考え方を第40回日本経営診断学会中部部会(於:愛知工業大学)にて報告した。この報告内容に基づいて、別の洋文献(共著書)の刊行に向けて研究を進めた。 しかしながら、ヒアリング調査と海外での調査は十分に行えず、24年度に向けての課題となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の研究においては、NUMMIの形成に至るプロセスについての一定の成果を出した。GM・トヨタ双方において、合弁について様々な捉え方が存在した中で徐々に意味づけが進み、合弁を適切な解とみなすに至ったことを、文献、二次資料、そしてインタビューによって示した。このことはNUMMI研究の第一歩として必要な作業であり、成果としても洋書の専門書の分担執筆という形で出すことができた。 また、組織間学習という中心テーマについては、先行研究に触れることによって、基本的な枠組みの構築ができた。これについては、日本経営診断学会の中部部会において発表し、一定の評価を得た。もちろん、まだ課題も残っていたため、枠組みの精緻化を進めているところである。この点で、100%の進展があったとは言い難く、24年度に向けて研究を進めているところである。それについては、24年の5月に国際学会で報告するよていであり(四日市大学経済学部の藤川なつこ先生、愛知学院大学経営学部の古澤和行先生との共同報告の予定)、理論的枠組みの更なる精緻化を目指していきたい。 このように、23年度においては、基本的な考え方と経緯を整理し、それをまとめたものを洋書の学術専門書という成果として出版することができた点は評価できるが、他方で学習についてはまだ一定の課題を残している点から、研究達成度は「おおむね順調に進展している」として自身で評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)理論的検討:23年度において進めた理論的枠組み・仮説とヒアリング調査との整合性を検討し、更に議論を深めるべく、その後出版された文献等も用いながら、理論的枠組みの精緻化を進める。(2)ケース分析:NUMMIで生じた学習についての分析を深めるため、米国側の状況についての分析を進める。具体的には、NUMMIに携わった方々を対象として、(1)23年度に引き続いての新規ヒアリング、(2)これまでのヒアリング調査の中で絞り込まれたテーマに関する再調査という2つのヒアリング調査を並行的に行う。 同時にこれまでの問題意識に基づき、アメリカ側の情報を獲得すべく渡航し、現地の研究協力者との情報交換を行う。(3)成果発表(国内学会と国際会議):NUMMIのケースは日米巨大企業間での合弁であることから国際的にも重要な意味を持つものと考えられるため、国内学会に加え、国際学会でも成果発表を行い、本研究の意義を国内外で公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)理論的検討:組織間関係(特に学習や技術に関わるもの)に関する文献・資料の購入(2)旅費:海外研究協力者との打合せ、国際学会発表、国内学会発表、ヒアリング調査(3)謝金:ヒアリング調査対象者への謝礼など(4)その他:英文校閲 この中で、研究計画では旅費に多くを用いて、日米(トヨタ側とGM側)の様々な方々へのヒアリング調査を行いたいと考えている。
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Research Products
(2 results)