2013 Fiscal Year Annual Research Report
引退期にあるトップ・アスリートの内的キャリア形成と支援の方法に関する研究
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23730392
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
小川 千里 小樽商科大学, 商学研究科, 准教授 (90340760)
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Keywords | アスリート / キャリア / 引退 / 支援 / SGE / TAE |
Research Abstract |
本年度の主たる案件は、「具体的支援の開発」と成果公表であった。前年度までに引退期にある大学生アスリートは、「発達課題と危機」(Erikson, 1959)に比べて幼さを見せること、また、引退期には内的キャリアの言語化が重要であるが、それに困難さを見せる傾向が示されていた。本年度は、キャリア・カウンセリングのキャリア・アンカーによる指向性テスト(Schein, 2007)、教育カウンセリングの構成的グループエンカウンター、フォーカシングのTAE(得丸, 2008)の実施を通じて、これらの特徴を持つ人々の自己概念の意識化、ならびに言語化を促進するエクササイズ、ワークと実施の仕方について検討した。その結果、「言語による内省」(キャリア・カウンセリング)よりは、身体の動きを重視するエクササイズやワーク(SGE,TAE)を通じて自己概念への気づきや言語化が促されることがわかった。また、教育カウンセリング分野では、エクササイズの進行は「構成的なものから非構成的なものへ進める」ことが望ましいが、本研究でもその流れに沿うことが、メンバー相互のリレーションの構築と内的キャリアの意識化を促しており、この結果についてはTAEメソッドの効果と合わせて国際学校心理学会(ISPA2013)で公表した。 一方、メンバー間のコミュニケーションが難しく、独自の方法にこだわりの強いアスリートが、SGEエクササイズによる関係性の安定的な構築と内省が促された事例について、教育カウンセリング学会(JECA2013)で成果公表した。ここでは類似した事例を熟知する専門家らと意見交換を通じて、SGEは実践的な支援策の一つであると再認識できた。今後は、上記以外の分野で用いられる方法についても目を向け、彼らの内的キャリアの意識化と引退期のキャリア移行にどのように影響するかについて検討していきたい。
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