2011 Fiscal Year Research-status Report
自治体マイスターの技能とキャリアの研究-制度の検証と技能伝承を中心に-
Project/Area Number |
23730394
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
松本 雄一 関西学院大学, 商学部, 教授 (10336951)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 技能伝承 / キャリアデザイン / 自治体マイスター |
Research Abstract |
研究の目的は、自治体の認定するマイスター(優秀技能者)の認定制度の有効性と、認定されたマイスターの技能形成のプロセスを明らかにする点にある。今年度は(1)神戸マイスター制度の調査、(2)北九州マイスター制度の調査、(3)にいがた県央マイスター制度の調査、の3つの調査を実施することができた。(1)神戸マイスター制度は調査予定としていた制度で、マイスター制度のモデルとなっているものである。今回調査の許可を得ることができ、5名の現役のマイスターのインタビュー調査を行うことができた。自身のキャリアと強く結びついた技能形成は、本研究の目的を十分反映したものであった。(2)北九州マイスター制度も調査の予定に入っているもので、3名のマイスターをインタビュー調査することができた。技能形成のアイデンティティが不況においても仕事がつきない、確固たる技能の裏付けになっていることが確認できた。そして(3)にいがた県央マイスター制度は、調査の予定にはなかったが、最近力を入れている制度であるということで、技能形成の取り組みを見学することができた。自治体マイスター制度の成功事例として大変興味深いものであった。3つの制度はいずれも、自治体レベルで技能尊重の機運醸成のみならず、技能伝承そのものに大きく寄与している。そのポイントを整理し、今後さらに調査を進めていくことで、制度の意義、および技能伝承とキャリア形成の融合となる理論構築に結びつけていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画で予定していた2つの自治体マイスター制度のインタビュー調査に着手することができ、特に神戸マイスターの調査を開始できたことは大きいことであるといえる。また現在進行中の他のマイスター制度の調査に加えて、にいがた県央マイスター制度の調査をすることができたのは、特にプラスになった出来事である。これによって技能伝承を大きな目的とした自治体マイスター制度の事例を増やすことができた。調査はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進については、引き続きマイスター個人のインタビュー調査を進めていくことがまずあげられる。幸い神戸マイスターへの調査は多くの示唆をもたらしてくれているが、それを続けることで、技能伝承とキャリア形成の関係性についても考察を深めることができるであろう。また北九州マイスターやにいがた県央マイスターについても可能であれば、インタビュー調査を進めていきたい。そして過去に調査したマイスター制度のその後を追跡調査することも検討している。それによって自治体マイスター制度全体の統合的な枠組みを形成するのがねらいである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費については調査地への旅費がまず使用計画としてあげられる。全国のマイスター制度を網羅的に研究するためには必要な旅費である。パソコン等の研究環境は整えることができているが、その他資料収集に必要な機材や、資料としての書籍などを購入する予定である。
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