2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23730400
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
林 靖人 信州大学, 産学官連携推進本部, 研究員 (60534815)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 地域ブランド / 適合方略 / 連合方略 / 確信度 |
Research Abstract |
本研究の目的は、地域商品の購買における地域ブランド情報の利用について2つの情報処理方略を検討するものである。 一つはイメージ・マッチング仮説(適合方略)であり、地域と商品の適合感や親和性の良さなど感性・感情情報を地域ブランドの評価に利用すると考える説である。平成23年度は、感情誤帰属手続き(AMP:Affect Misattribution Procedure)を用いて検討を行った。実験結果では、地域名を付与された商品の認知において、高知名度の地域名が付与された商品では適合判断の反応速度が速まったり、逆に低知名度の地域名が付与された商品では安心感の反応速度が遅れることが示された。ただし、予測した知名度の高低によるポジティブ/ネガティブ反応の差異が明確化には現れなかった。そのため現在実験手続きの改良試行中である。 もう一方のイメージ・アソシエーション仮説(連合方略)は、地域に関する諸知識や地域と商品の関係性についての知識を地域ブランド評価に利用すると考える説である。平成23年度は、虚記憶研究におけるDRMパラダイムを用いて検討を進めた。実験結果では、地域資源のブランド連想に基づく地域名の誘発(虚記憶)が確認され、我々が地域に関してパタン化された知識を有していることが示された。 また、これら二つの処理方略は独立したものではなく、相互に関連しあうと考えられるが、両者の利用バランスは当該の地域名に対する「知名確信度」によって変化すると予測される。現在DRMパラダイムでの研究結果からは、地域と資源の結び付きを強く認識するほどブランド連想が利用されやすい可能性が示唆されている。 24年度は、これら2つの研究結果を統合的に比較できるよう実験を精緻化すると共に、処理方略と購買意図や行動との関連性を明確化する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である平成23年度には、実験室実験について予定通り実施した。設定した研究課題を検証する点においては、予想以上に興味深いデータが得られており順調に進んでいる。ただし、再度実験手法の検討を行い、研究データを取得する上でより妥当性の高いと考えられる実験手法に変更を行った。その結果、実験刺激やプログラムの作成、プレテストの時期に変更が生じたが、結果の学会発表・論文執筆には問題がない範囲で進捗している。 一方、23年度に予定していた質問紙調査については、上記変更に伴い内容や対象の再検討を行う必要が生じたため、実施を24年度に繰り越して実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、実験手法の精緻化を進めながら、計画通り仮説の生態学的妥当性(理論の現実適用可能性)を検証する。生態学的妥当性に関わる要因として、個人・社会属性の影響については、大学生被験者の知識量のばらつきが挙げられる。この点は現在、民間調査会社に依頼し、調査モニター等の利用を検討している。また、環境要因については、購買場面で付加される価格やポップ、口コミ評価等の付与が、情報処理方略に与える影響を検討する。加えて、アンテナショップ等の実際の販売場面にて消費者の判断方略に関する内省を取得する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度の実験室実験の内容・進捗との対応を取ったため当初予定していた質問紙調査を24年度実施に変更した。これに伴い24年度の研究費利用計画は、当初計画に加えて23年度分の質問紙調査実施分を合わせて履行する予定である。
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