2011 Fiscal Year Research-status Report
ブランドの使用・所有行動を通した自己表現尺度の開発
Project/Area Number |
23730403
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
柴田 典子 横浜市立大学, 国際マネジメント研究科, 准教授 (60347284)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 消費者行動 / 自己表現 / ブランド / マーケティング / 自己概念 / 尺度 / 象徴的消費 / 他者 |
Research Abstract |
本研究の目的は、消費者行動における自己表現尺度を開発することである。マーケティングおよび消費者行動の分野では「ブランドは自己表現の手段である」ということが数多くの文献やメディアで言われているにも関わらず、ブランドによって消費者が自己表現を行うメカニズムや、具体的な自己表現様式については言及されるに至っていない。もちろん、対人的な自己表現(自己呈示)に関しては社会心理学において数多くの研究が進められているが、それを消費者行動論の枠組みで検討し論じたものは非常に少ない状況である。したがって、ブランドとは、消費者の自己を映し出し、ともに成長していくものだという認識のもと、選択・購買行動に偏りがちな消費者行動研究の中で使用・所有行動に焦点を当て、自己表現という課題に取り組むことに意味が見い出した。そして、本研究において、ブランドによる自己表現の尺度化を試みることは、ブランド研究のみならず広く消費者行動研究において新たな概念提供ができる可能性があると考えている。そこで、平成23年度は、下記について重点的に行った。 (1)国内外における先行研究の精査:ブランドの価値構造・機能に関する研究、消費者行動における自己研究、象徴的消費、顕示的消費、心理学・社会心理学における関連研究のレビュー等を行い構成概念を検討 (2)自記式調査の実施:消費者行動における自己表現の実態の把握と尺度開発において必要な測定対象に関する質問項目の収集 (3)自記式調査において得られたデータの整理:消費者のブランドに対する意識に関する要素を抽出し、ブランドを通した自己表現のあり方(他者を意識したもの/自分自身内での自己完結的なもの等の識別)、動機、ブランドを通して自己表現をすることによる消費者自身への影響、自己表現に用いられるブランドの特徴、ブランドを通した自己表現を行う上での消費者行動的な特徴等を検討
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究計画において予定していた内容をほぼ実施することができ、また、平成24年度の実施計画も見通しがたっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度においては、下記の内容を重点的に行う予定である。 (1)尺度項目の収集:インタビュー調査を行い、収集したデータの整理・分析において、内容分析とともにテキスト・マイニングを行う。 (2)試作版の作成と基準関連データの収集:定性的調査(インタビュー)の結果をもとに、定量的調査への準備をする。因子分析やクラスター分析、判別分析などの多変量解析及び共分散構造分析を行うことを想定した質問票の設計を行う。 (3)予備尺度の作成から尺度開発:試作版尺度をもとにして、項目分析、相関分析、因子分析、項目反応理論などを適用し、項目の弁別力を確認、予備尺度を作成する。信頼性係数の算出、素点の算出、妥当性係数の確認と一連の手続きを行い、分析を繰り返して完成版尺度に近づける。 なお、本研究は個人研究ではあるが、様々な分析において、データ入力、データ加工、定性データのコーディングにおけるコーダーが必要となるため、円滑かつ効率的に研究を進めるために、研究協力者を効果的に活用することが必須であると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
多岐にわたる文献の購入費、消耗品費、定性調査の際に必要なICレコーダーやデジタルカメラ、分析に必要となるPC等の物品費、知見を得るための学会参加費と旅費、効果的・効率的に研究を遂行するための研究協力者への謝金が必要となる。
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