2012 Fiscal Year Research-status Report
ブランドの使用・所有行動を通した自己表現尺度の開発
Project/Area Number |
23730403
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
柴田 典子 横浜市立大学, 国際マネジメント研究科, 准教授 (60347284)
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Keywords | 消費者行動 / 自己表現 / ブランド / 尺度 / 測定 / マーケティング / 自己概念 / 自己呈示 |
Research Abstract |
平成24年度において、ブランドの使用・所有行動によって消費者が自分らしさを認識するプロセスを明らかにし、消費者行動論の観点から、ブランドによる自己表現尺度を開発するを行うことを研究目的した本課題に従事した。これは、マーケティング的視点からのアプローチであり、理論構築の側面だけでなく実務的な意義を持つものである。 研究目的を達成するために、(1)構成概念構築のための文献レビュー(ブランド論におけるブランドの価値構造・機能に関する研究、消費者行動における自己(self)研究(自己表現中心:自己表現による自己概念への影響、消費者行動との関連など)、象徴的消費、顕示的消費、心理学・社会心理学における関連研究のレビュー等)の継続、(2)尺度開発のための文献レビューの継続と必要となる分析手法の検討、(3)尺度開発において必要な測定対象に関する質問項目を収集するための定性調査(基礎調査として、大学生を対象とした1対1のヒアリングと自記式調査)の実施とその整理、(4)定性調査における質的データを用いたテキストマイニング方法の検討と探索的分析、(5)レビューと定性調査をもとにした、消費者行動における自己表現に関する概念モデル・枠組みの継続的な検討(ブラッシュアップ)、(6)試作版尺度の作成に向けた仮調査票の作成、を行ってきた。 現状としては、学会発表や論文執筆には至っていないが、本研究の推進のために、適宜、同じ研究分野の研究者と勉強会を行ったり、近接分野の研究者との意見交換なども実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的達成において必要である研究上の作業内容は、大きく分けると、(1)ブランドの使用・所有行動を通じた自己表現にかかる構成概念の検討、(2)ブランドの使用・所有における自己表現尺度の作成、の2つに分類できる。 (1)の「ブランドの使用・所有行動による自己表現にかかる構成概念の検討」については、研究機関開始年度から継続的におこなっており、随時検討とブラッシュアップを続けてきている状況で有り、当初の研究計画におおむね沿って進展している。 (2)の「ブランドによる自己表現尺度の作成」においても、尺度開発に必要なステップを段階的に着実に進めてきていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題開始初年度から2年の間、当初の研究計画に沿って進展させてきたが、実際に尺度開発に取り組んでみると、計画時点で想定していた以上に、研究の各ステップに時間がかかることがわかった。頑健な尺度を開発するためには、とりわけ、構成概念の妥当性を慎重に検討しブラッシュアップさせていき、それを尺度項目に反映させていくことが重要であるためである。また、尺度項目作成のための定性調査において、テキストマイニングを活用しているが、テキストマイニングは分析ソフトに依存するところが大きく、適切な分析方法の探索に時間を要している。 したがって、再度、尺度開発のための各種調査を複数のカテゴリー、ブランドにわたって行い、テキストマイニング方法を固めることが新たな課題として生じた。この課題解決に伴い、項目分析、相関分析、因子分析、項目反応理論などを用いた項目の弁別力の確認といった一連のプロセスの上で、予備尺度を再作成することが必要となるため、当初の研究計画にこれらを追加する必要がある。 そして、最終的に、信頼性係数の算出、素点の算出、妥当性係数の確認という尺度構成の手続きをふんで、分析を繰り返し「ブランドによる自己表現尺度」を最終的に作り上げ、論文を完成させる研究上のプロセスを後ろ倒しにしなければならないと考えている。これは、頑健な尺度開発を行う上で、必要不可欠な課題の発生と研究計画の変更であると言える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)継続して文献レビューを行うため各種文献の購入、(2)研究上必要となる文房具・PC周辺機器をはじめとした物品の購入、(3)分析に必要なソフトウェアの購入・バージョンアップ、(4)尺度の作成や分析プロセスで必要となる協力者への謝金、(5)効果的・効率的な研究の進展のための勉強会や学会への参加、において、研究費の執行が必要となる予定である。
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