2011 Fiscal Year Research-status Report
価格提示方法が参照価格に及ぼす影響に関する実証研究
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23730409
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
奥瀬 喜之 専修大学, 商学部, 准教授 (30312440)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 消費者行動 / 参照価格 |
Research Abstract |
消費者行動研究においては、消費者の価格変化への反応に関して様々な研究がなされてきた。そこでは、消費者が財・サービスに対して「このくらいの価格が適切であろう」などと考える価格、すなわち参照価格を備えていると考えられてきた。本研究の目的は、価格の提示方法の違いが参照価格に及ぼす影響について検討することを目的としている。 平成23年度は参照価格に関連する先行研究のレビューを行い、参照価格及びその関連概念の整理を行った。すなわち、先行研究においては様々な参照価格概念が提示され、実証研究においては操作化されてきた。それら様々な参照価格概念の整理を試みた研究はいくつかなされてきた(Klein and Oglethorpe 1987; Winer 1988; 斉藤 1997; Lowengart 2002)が、それらは、あくまで参照価格概念の多義性を認めた上での整理にとどまり、より重要な概念はどの価格概念であるかについては言及されてこなかった。 この点に関して、本研究ではマネジリアルな観点から考察した場合に、価格決定者にとってより重要な参照価格は、消費者がその製品に「支払ってもよいと考える価格(Willingness To Pay; WTP)」と、消費者が品質に照らしてその価格を適正であると考える「公正価格」であることを理論的に考察した。 本研究の経緯については、日本マーケティング・サイエンス学会第89回研究大会(関西学院大学、平成23年6月19日)において「計量モデルにおける参照価格の操作化に関する考察」として報告を行っている。また、平成24年9月刊行予定の『マーケティング・ジャーナル(第126号)』においても、参照価格概念と企業が採るべき価格戦略の関係性の観点からの考察を示す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成23年度中に(1)先行研究のレビューに基づいた参照価格概念及び関連概念の整理を行うほか、(2)購買履歴データを用いた実証分析、(3)コンピュータ実験の実験計画の準備を行う予定であったが、(1)の先行研究のレビューに基づいた参照価格関連概念の整理を行うに留まってしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度中に、購買履歴データを用いた実証分析と、コンピュータ実験によって集めたデータを用いた実証分析を行い、学会(国内については日本消費者行動研究学会他を予定)での報告を行う。学会誌への投稿も検討している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度においては、実査に見込まれる支出及び研究報告への出張にかかる支出が中心となる予定である。 前者については、コンピュータ実験を行う際に必要なソフトウェアの購入および、調査を依頼する調査会社への謝金等の支出が考えられる。 また後者については、研究結果を報告するための学会への出張にかかる支出が見込まれる。
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