2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730415
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高橋 啓 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (70595280)
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Keywords | マーケティング / 離散選択モデル / 心理的効果 / ロジットモデル |
Research Abstract |
本年度の実績は,大きく分け,次の2点である. まず最初が,昨年度に引続き,心理的効果を表現するのに用いるGeneralized Nested Logit(GNL)モデルの基本的性質を明らかにしたことである.具体的には,GNLモデルの段階的最尤推定問題について,その選択肢選択段階とネスト選択段階がそれぞれ等価な情報量最小化問題と双対関係にあることを示した.また,その途中で,一般的なGNLモデルに課される制約条件のうち,最尤推定問題(段階的ではなく,一括推定であっても)では,アロケーション・パラメータの合計条件,非負条件,類似度パラメータの非零条件は,明示的に課す必要がないことを明らかとした.また,合計条件の合計数は,0でないことも確認された.これらは,Papolaらが文章で示していることの正式な証明ともなりうる. 次に取り組んだのは,GNLモデルを用いた心理的効果の実証である.ここでは,まずPOSデータから,心理的効果が生起していることを集計的に確かめることを試みた.具体的なデータは,大手スーパーマーケットの食品関連POSデータ及び量販店におけるノートパソコン,デジタルカメラである.これらの集計的な分析では,妥協効果については生起が確認されたものの,魅力効果についてはその生起が確認することが出来なかった.これは,価格以外の属性空間において支配される商品は一般的に型落ちの商品であり,価格について支配されないよう価格付けされているためであると考えられる.これを受け,アンケートをとり,仮想購買データよりGNLモデルを用い,効果の生起を確かめることとした.この結果についても妥協効果については生起が確認されたものの,魅力効果についてはその生起が確認することが出来なかった.これは,GNLモデルの持つ魅力効果の大きさに限界があるためであると考えられる.
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