2011 Fiscal Year Research-status Report
有向ネットワークによるブランド知識分析-参入順位別の知識構築戦略の検討-
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23730417
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 志乃 関東学院大学, 経済学部, 講師 (20409626)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 消費者行動 / 消費者知識 / ブランド戦略 / 参入順位 / 有向ネットワーク / マーケティング / ブランド知識 |
Research Abstract |
本研究は「ブランド想起を高める知識構造はいかにして構築されるのか」という問題意識のもと、有向ネットワーク分析を用いてブランド知識の構造と動態について検討するものであり、次の3点を主要な研究目的とする。 1)別の次元で扱われてきたブランド連想(ブランド→関連概念)とブランド想起(関連概念→ブランド)を有向のネットワークとして分析することによって知識ネットワークの双方向性を統合的に扱い、知識ネットワークの形成プロセス(動態)を明らかにする。2)参入順位がブランド知識構造に与える影響を明らかにし、データに基づいて後発ブランドの知識構築プロセスのパターンを抽出・類型化し、後発の戦略的可能性についての知見を導出する。3)マッピング手法に代わるものとして、有向知識ネットワーク分析に基づく戦略立案のあり方を提案する。 本研究は4ヶ年計画であり、次の手順で研究を進めていく。1)事前分析および分析手法の策定:既に蓄積されたデータを使って最適な分析手法を探る。2)事前調査:知識ネットワーク内の範囲を特定し、主要な語彙を選定するための事前調査を実施。3)本調査:事前調査で抽出した主要語彙間の連想関係を測定する。1000s規模の調査を複数回実施する。4)データベースの作成:テキストマイニングを実施し、基本語彙のデータベースを作成する。5)分析:知識構造の静態・動態に関する分析、参入タイミングによる知識構造パターンの類型化を実施。 本年度は、既に収集した一般消費財(トクホ飲料等)の知識データを用いて、最適な分析方法を検討した。また、トクホ飲料のように比較的関与の低い製品カテゴリに限定せずに知見の一般化を図るため、新たに調査対象カテゴリを増やすための基礎データの収集を行った。具体的には、比較的関与が高く、かつ市場の成長の見込めるカテゴリ(ニキビケアなどの化粧品類)について基礎データを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
● データの収集・分析方法に関する再検討 これまで集めたデータを試験的に分析した結果、想定していた方法ではデータが粗く、このままでは研究目的に適ったネットワーク分析を行うことは難しいことが判明した。ネットワークにより知識構造を分析するためには、データ収集の形式や分析方法について工夫する必要性が明らかになった。ゆえに、改めて学生らを対象とした予備実験を数回行い、データの収集・分析方法について多面的に検討しなおした。● 対象カテゴリの拡大による予備調査(パイロット調査)の実施 トクホ飲料のみならず、新たな領域にも対象を拡大すべく、ニキビケア製品・オールインワン化粧品など比較的消費者の関与度の高い領域に関する消費者の知識データを収集し、主要な語彙・関連知識の把握を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究は、計画に沿って、次のように進める予定である。1)データ収集・分析方法についての詳細な検討。2)対象カテゴリについての検討。3)事前調査 関連知識ネットワークにおける概念の選定のための調査。知識ネットワークの範囲を特定し、主要な語彙を抽出・選定するための事前調査。4)本調査 関連知識の連想の測定。 1の項目については、2011年度においてほぼ実施し、ある程度のめどが立っている。2)についても、候補となる対象カテゴリについて基礎データを収集しており、これらのなかから市場の状況等を勘案したうえで、調査対象を絞り、3)~4)の事前調査・本調査を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究はデータの収集・分析が研究の柱であり、研究経費の9割を調査実施費用(実査業務依頼費)が占める。残りは分析ソフトの保守サービス費用、あるいは分析に必要な広告出稿量や販売量のデータの収集のためのデータベース閲覧利用料であり、いずれも研究の遂行に絶対に欠かせないものである。本年度の主な使用計画としては以下の3点である。1)事前調査・本調査の実施費用(実査業務依頼費)2)基礎データ購入費(広告出稿量や販売量)3)統計ソフトの保守サービス料(11年度に購入したamos)※ なお、次年度使用する予定の研究費は、1)の調査実施費用に充てる予定である。(23年度中はパイロット調査による分析方針の検討を行い、大掛かりな消費者データの収集作業を24年度以降に持ち越したため)
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