2011 Fiscal Year Research-status Report
マーケティング・コミュニケーションにおける原産国効果に関する国際比較研究
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23730418
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Research Institution | Yamanashi Gakuin University |
Principal Investigator |
日高 優一郎 山梨学院大学, 現代ビジネス学部, 講師 (90550335)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 原産国効果 / 国際比較 / マーケティング・コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究の目的は、原産国表示(Country-of-Origin:以下COO)を通じたマーケティング・コミュニケーションに、文化的規範がどのような影響を及ぼしているのか、国際比較分析を行い明らかにすることである。 研究の初年度である本年度では、まず第1に、これまで筆者が蓄積してきたCOO研究を引き継ぎながら、COO研究、およびコミュニケーションの文化的規範研究に関する文献展望の体系化が行われた。その結果として、おもに、(1)International Marketing Review誌上でCOO特集号が組まれるなど、COOの効果のメカニズムを精緻に理解する研究の必要性がより一層高まりつつあるということ、(2)Bloomer et al. (2009)に見られるように、マーケティング・コミュニケーションにおけるCOO効果を精緻化見込モデルに依拠しながら包括的に理解するための理論モデルが提唱されており、理論モデルの有効性を検証することの重要性が指摘されていることなどが確認された。本研究も、精緻化見込モデルに依拠したCOO効果の検証を目指すものであり、以上のような本年度に実施された文献展望の体系化の手続きに加えて、他の研究者とのディスカッションを通じて、本研究の焦点をより明確にすることができたものと考える。 第2に、来年度実施予定であるサーベイ調査に向けた手続きが進められた。具体的には、国際比較研究では、質問票の翻訳に一定の手続きを要するため、海外の市場を対象として配布予定である質問票の作成の手続きが進められた。本年度実施された手続きにより、来年度以降実施するサーベイ調査がより円滑に行える体制が整備されたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、COOを通じたマーケティング・コミュニケーションに、文化的規範がどのような影響を及ぼしているのか、国際比較分析を行い明らかにすることを目的としている。本年度は全体で3年間の研究計画期間の初年度である。本年度は、来年度以降に実施を予定している質問票を用いたサーベイ調査の準備期間と位置付け、研究を進めてきた。 具体的には、まず第1に、文献展望の深化と他の研究者とのコミュニケーションを通じて、本研究の理論的位置づけを明確にすることや、サーベイ調査の円滑な実施に向けた準備をすすめてきた。第2に、海外におけるサーベイ調査を実施するための事前準備として、海外の消費者を対象として配布する質問票の作成プロセスをすすめてきた。 このように、本年度は、研究プロジェクトの初年度にあたるため、本研究の理論的位置づけを明確にすること、次年度以降実施予定のサーベイ調査の準備の2つに注力してきた。とりわけ、本研究の理論的位置づけについては、他の研究者とのコミュニケーションを通じてより先鋭化されたこともあり、来年度以降実施予定のサーベイ調査の準備期間としての計画は、おおむね達成されていると考えてよい。また、サーベイ調査の実施にあたっては、質問票の構成、標本抽出の方法等、実施要項に関する慎重な検討が今後より一層必要になるものと考えられるが、当初予定していた初年度の実施プロセスは、おおむね達成されたものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず第1に、サーベイ調査で使用する質問票の構成については、初年度実施してきた手続きを引き続き継続的に実施することで、質問票の精度を高めていく。今回の研究では国際比較を行うことが目的であるために、調査対象となる市場の言語に堪能な協力者が必要となるが、その点についてはすでに依頼済みであり、引き続き本研究を推進する体制は整備されている。調査の実施については、調査会社に概要をすでに説明済みであるため、問題はないと考えられる。 加えて第2に、他の研究者や実務家とのコミュニケーションを通じて、研究の理論的位置づけの明確化や実践的示唆の探索的検討を初年度も実施してきたが、この点については、今後も継続的に実施することで、本研究の理論的・実践的示唆をより豊かなものにすることができると考える。 なお、本研究では、当初、国際比較の対象として、日本とドイツを計画していたが、初年度の他の研究者とのコミュニケーションを通じて、中国を対象とした調査を実施することができる可能性も出てきた。そのため、基本的には、当初の計画通りドイツを対象として調査を実施する一方、状況に応じて研究資源に余力があると判断される場合に限り、研究を当初の計画から少し進展させて、中国市場を対象とした調査も実施することを視野に入れて研究を進めていくことにしたいと考える。 また、当該年度の所要額と実支出額に差異が生じているが、これは当初計画していた他の研究者との打ち合わせの中に、延期となったものが含まれるためである。上述のとおり、本年度においても継続的に他の研究者との打ち合わせを重ねることで、研究の推進をはかっていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
先に示した通り、本研究は海外における消費者を対象としたサーベイ調査を実施する計画である。次年度生じる研究費のうち主要なものは、以下のとおりである。 まず第1に、他の研究者との打ち合わせに係る費用である。初年度においても他の研究者とともに、質問表作成や研究の位置づけに関する打ち合わせを重ねてきたが、来年度以降も、引き続き同様のプロセスを踏むことで、質問票の精度を高めたり、さらなる研究の方向性をディスカッションすることが研究を進展させる上で重要な役割を担う。そのため、他の研究者や実務家との打ち合わせに係る費用が必要となる。加えて第2に、海外市場におけるサーベイ調査の事前打ち合わせとして、海外の調査会社との事前打ち合わせが必要になる可能性も視野に入れておく必要がある。この点については、必要に応じて柔軟に対応する必要があるものと考える。更に、サーベイ調査を実施するための費用が生じる。費用は、質問のボリュームやサンプル数によって大きく変わることが想定されるため、調査の目的が達成される範囲内で柔軟に対応することが求められる。最後に、初年度から継続して、文献展望の深化が必要になるため、書籍の購入等に係る費用が生じる。
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