2012 Fiscal Year Research-status Report
製品カテゴリの生成・変化に関する社会的プロセスの分析
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23730421
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吉田 満梨 立命館大学, 経営学部, 准教授 (30552278)
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Keywords | 製品カテゴリ / 市場創造 / 価値共創 / 実践的転回 / サービスドミナントロジック |
Research Abstract |
平成24年度以降は、製品カテゴリの生成・変化についての経験的研究を実施し、それらを基に、製品カテゴリの動態理解のための理論開発を行うことを計画している。平成24年度は、新市場が形成されたパイロットケーススタディとして、カモ井加工紙株式会社によるマスキングテープ「mt」の開発プロセスについて調査・分析を行い、その成果を学会報告ならびに論文として発表した。2012年5月26日には、北海商科大学で開催された日本商業学会 第62回全国研究大会にて、「新市場の形成過程におけるユーザーとの価値共創の有効性」という論題で研究報告を行なった。さらに学会発表で得られたコメントを踏まえて、再検討した内容を元に執筆した論文は、「製品評価基準の変化を伴う新市場形成プロセス:カモ井加工紙株式会社『mt』の事例研究」というタイトルで、『マーケティングジャーナル』の第32巻 第3号(通号127)に掲載された。またコモデティ化した市場において、全く従来とは異なる価値を持つ製品市場が形成された「mt」の事例を検討する上での理論的な枠組として、サービス・ドミナントロジック並びに、経営学における実践的転回の議論、並びにオープンイノベーションを含む価値共創の議論についてレビューを行ったが、その成果の一旦として執筆した原稿「パートナーとの関係構築に基づく新市場創造」を、『BtoBコミュニケーション』第44巻第10号に寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度以降は、年間に1つないし2つの事例研究の執筆を計画していたが、パイロットケーススタディとして、カモ井加工紙の新市場創造の事例を十分に検討することができた。その結果、最終的に構築されるべき理論的な視点も明確化できたと考えている。さらに、本事例を検討する中で、市場形成プロセスにおける顧客の関わりについて、大きな示唆を得ることができたため、今後の研究計画にも反映していきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては、引き続き研究期間内に、(a)既存研究における知見の整理、(b)製品カテゴリの生成・変化についての経験的研究、(c)理論的考察と研究成果の公表、の3つを達成したいと考えている。研究期間において、最も時間と予算の多くを割きたいと考えているのは、(b)であり、複数の事例を対象に、製品カテゴリが生成・変化するプロセスについて分析を今年度も引き続き行う予定である。各事例の具体的な分析手法としては、「定性的手法として事例の厚い記述」「定量的手法としてテキストマイニングによる言説の分析」の2つを予定していたが、平成24年のパイロットスタディでは、定性的な記述のみにとどまったため、平成25年度は、新規事例のケーススタディと共に、テキストマイニング・言説分析による分析を実施する予定である。またそうした研究成果については、商業学会をはじめ、各学会で積極的に報告をし、論文としてまとめていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の大部分は、事例研究のための調査旅費、ならびに資料費として使用させていただく計画である。
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Research Products
(3 results)