2011 Fiscal Year Research-status Report
フレキシブルな基準の導入に対する監査人の判断過程―欧州各国の対応を例として
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23730425
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
猪熊 浩子 東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (30596416)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 監査人の判断 / 国際財務報告基準 / IFRS / 監査法人 |
Research Abstract |
プリンシプルベースの会計基準が画一的に導入された場合に想定しうる可能性としては、財務情報の枠組みという形では統一化されるが、実際に提供される数値については、判断にゆだねられるため、従来よりも数値の判断に幅が出てくるのではないかという点がある。 一方監査人側に想起する事象としては、監査・保証により信頼性の付与の程度が低下するのか、監査リスクが上がるのか、新たな監査手法や枠組みの開発が必要ではないのか、とくに監査現場での判断指針の明確化が求められる。 基本的に監査を実施する時には、ある会社の実務的な会計処理が基準に適応するかどうかの基準適合性の判断が監査人側に求められる。この場合、監査基準や、会計基準に基づき監査人がどう判断するかがポイントになるが、監査手続を実行するにあたり、プリンシプルベースの会計基準のほうが監査人側での判断局面での自由度が高い。そして監査への期待の高まりで訴訟リスクが高まる(のであれば)、自らのリスクを避けながら監査を行う必要が出てくる。すなわち、意見の拡散をどう担保しているのか、この際の処理の仕方として、類型を考察した。 研究の過程では、プリンシプルベースの会計基準としてIFRSを利用して財務報告を行っている欧州企業データを入手し、監査人の判断過程の相違について、IFRS導入前と導入後の比較を行っており、翌年度の研究成果につなげる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた計画通りに進展しており、次年度においては、前年度の計量分析の結果を踏まえた形でヒアリングを交え、研究論文の執筆に向けて引き続き研究を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の本研究の推進方法としては、前年度に行った財務報告書類のテキスト分析や財務報告書類の計量分析を通して、プリンシプルベースを採用した場合に監査人の判断過程について引き続き研究を行う。主に計量分析から得られた結果をもとに、イシューの分類やIFRSにおける監査のあり方について大学教員や会計士などの専門家からヒアリングを行い、分析をより一層明確にするよう心がける。これらを踏まえて、研究論文の執筆をすすめる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成24年度請求額と合わせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)