2012 Fiscal Year Research-status Report
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23730429
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
赤塚 尚之 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (30386536)
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Keywords | 非金融負債 / 公正価値 / 信用リスク |
Research Abstract |
本年度の研究実績は、次のとおりである。 1.研究体系の考察:「非金融負債会計の再構築序説」(近未来の企業経営の諸相―2025年―(花堂靖仁・高橋治彦編著所収)において、本研究の全体像を明らかにし、検討すべき諸論点を網羅した。なお、論点については、負債の範囲、認識、測定に分けることとした。 2.負債の範囲に関する考察:「負債の範囲と財務情報の有用性―比較可能性の追求が及ぼす影響―」(彦根論叢393所収)において、負債の範囲と財務情報(会計情報)の有用性との関係について考察した。本稿は、情報利用者にとって法的債務以外の債務を源泉とした項目は,(1)意思決定に重要ではないか、(2)意思決定に重要であるものの、注記または財務諸表外の情報から当該項目を事実上の負債として意思決定に織り込む能力を有し,財務諸表本体に反映する必要はないとみなしているはずであるという情報利用者に関する想定を仮説として提示した。 3.負債の測定に関する考察:「非金融負債の公正価値測定と自己の信用リスク」(滋賀大学経済学部研究年報19所収)において、公正価値測定における信用リスクの取扱いについて考察した。負債の公正価値測定における信用リスクの取扱いに対する積極論と慎重論を突き合わせることによって、信用リスクを積極的に反映すべき状況を導出し、公正価値測定が適用された非金融負債として資産除去債務を取り上げて検証を行った。その結果、資産除去債務は,当初認識においても、事後測定においても,本来信用リスクを反映する余地のない項目であるという結論が得られた。また、本稿の公表に先駆け、日本会計研究学会第71回大会において、自由論題報告をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.負債の定義や範囲をめぐっては、負債を直接定義すべきかという点から議論を行う必要があり、既存の定義に全面的に依拠したうえで議論を行うことが難しい状況となった。 2.認識については、測定をめぐる議論を整理しているところであり、手付かずとなっている。 3.測定については、信用リスクについて検討を行ったものの、公正価値測定における取扱いを検討したにとどまり、適切な属性の選択などに踏み込んだ議論まで到達していない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、まず、測定に関する議論を進めていく。現在、非金融負債の測定について、期待値、中央値、最頻値の選択について検討を行っている。 次に、現実的な目標として、負債の定義の検討状況、非金融負債の会計基準の検討状況について、適切な観点を設定し、議論のための整理を行うこととしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は、各種文献の最新版(特に洋書)の購入に充てる。
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