2011 Fiscal Year Research-status Report
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23730434
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
加藤 典生 大分大学, 経済学部, 准教授 (50555068)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 原価企画 / 逆機能 / サプライヤーの疲弊 / 組織間管理会計 |
Research Abstract |
本研究の目的は,「原価企画におけるサプライヤーの疲弊問題」を解決することにある。その方法の一つとして,自動車メーカーであるバイヤーが実施している原価企画を部品メーカーであるサプライヤーにも導入することが考えられる。また,それは実務からもその導入の必要性を伺っている。しかしながら,サプライヤーへの原価企画の導入は一部の有力なサプライヤーを除いて,ほとんど進んでいるとはいえない。 そこで本研究では,どのような条件が整備されていれば,サプライヤーにも原価企画をスムーズに導入できるかを解明するとともに,サプライヤーへの原価企画導入が原価企画の逆機能の一つとされる「サプライヤーの疲弊」に及ぼす影響と,そこで果たす管理会計の役割を明らかにすることを狙いとする。 この目的を達成するために,平成23年度は,原価企画が日本企業の競争優位を獲得する手段として有用であるかを再確認するとともに,サプライヤーの疲弊の軽減策と,サプライヤーに原価企画の導入が進んでいない要因の一部を検討してきた。 その結果,サプライヤーの疲弊が他の原価企画の逆機能の多くと相互に関連性を有していることが確認された。これにより,サプライヤーの疲弊を軽減していくためには,原価企画の逆機能を鳥瞰して検討していかなければならないことが明らかとなった。 また,これまでに実施してきた実態調査から,原価企画に対する理解不足や原価管理の進展度合いが,業種,規模,階層,地域で異なり,サプライヤーの原価企画導入を阻害している可能性が明らかとなった。こうした各セグメント間での違いによって,従来の原価企画の取り組み方と異なることが考えられる。このことは,原価企画の解釈を再検討する時期に差し掛かっているといえ,原価企画理論の発展に寄与する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究計画は、原価企画の実施状況についての実態調査を主としており、複数の企業に対してインタビュー調査を行うことができ、その研究成果の一部は論文に反映されている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年の研究計画に従って、種々の業種の原価企画の実施状況を調査しながら、サプライヤーの原価企画導入阻害要因とその解消策を検討していくことを主とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費…原価企画、機能論、心理学など、サプライヤーの疲弊問題と原価企画導入に関連する文献等の購入を予定している。旅費…業種,規模,階層,地域の違いを意識しながら、原価企画実施状況についてインタビュー調査を行うために使用する。その他…本学に所蔵していない文献資料をコピーするのに使用する。
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