2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730436
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
高橋 二朗 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (70581619)
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Keywords | 減損会計 |
Research Abstract |
本研究は,減損会計基準の強制適用を主な分析対象として,減損会計基準がもたらした企業の会計行動の変化とそれに対する証券市場の反応を明らかにするものである。具体的な研究項目は,①企業が減損会計基準を適用する具体的な目的の解明,②企業の具体的な利益調整行動の変化の解明,③減損損失計上に対する証券市場の反応,④減損会計基準の導入前から強制適用に至るまでの実証結果の統一的な説明の4つである。 本年度は,上記のうち②及び③の研究のまとめを行った。②については,減損会計基準の設定に起因した利益計算に与えられた解釈の変化から,経験的に検証可能な仮説の導出を試み,実証分析を行った。利益計算に与えられた経験的な解釈の変化に焦点をあてたとき,減損会計基準の設定後に企業は割引率(資本コスト)見合いの利益水準の稼得を意識した利益調整行動をとる傾向が強くなると予測され,検証結果は当該仮説と整合してることが明らかになった。当該成果はディスカッションペーパーとして公表されている。 また,③については,減損会計基準の設定前(1998~2003年),早期適用(2004~2005年)及び強制適用(2009~2010年)を分析対象として,財務諸表公表日前後の短期的な株価超過収益率と減損損失の関連性について包括的に検討した。その結果,減損会計基準の設定前及び強制適用では減損損失と株価収益率との間に関連性は見られなかったのに対し,早期適用では正の関連性が確認された。このことは,業績水準に応じて減損損失の情報価値が異なるとする先行研究と整合する結果であった。当該成果は,The 14th Asian Academic Accounting Association Annual Conferenceにて報告を行った。
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Research Products
(3 results)