2011 Fiscal Year Research-status Report
日本企業の配当政策が利益調整行動および株式市場に与える影響に関する実証研究
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23730437
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
石川 博行 大阪市立大学, 経営学研究科, 教授 (60326246)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 特別配当 / 記念配当 / 拘束性 / 柔軟性 / 一時性 / シグナリング仮説 / 将来業績予想 / コロボレーション効果 |
Research Abstract |
本研究は、日本企業の配当政策が利益調整行動および株式市場に与える影響を実証的に解明することを主たる研究課題としている。日本には、普通配当のほかに特殊なラベルが付いた配当が2つ存在する。記念配当と特別配当がそれであるが、データベースの不整備等の理由により、これまで特別配当の実態やその情報内容は明らかにされてこなかった。日本企業の配当政策を分析するに際して、特別配当の実態解明は必要不可欠である。そこで初年度は、手作業で収集した特別配当サンプルを用いて、日本企業の特別配当の実態を解明するとともに、その情報内容を実証分析した。 分析の結果、次の事実を発見した。(1)特別配当は記念配当ほど利用されていない。(2)特別配当は、記念配当と同じく高い柔軟性を有する一方で、相当程度の拘束性も備わっている。ただしその拘束性の程度は、記念配当より特別配当の方が統計的に有意に低い。(3)特別配当の水準と変化は、他の価値関連情報を所与としてもなお、企業間に存在する株価のバラツキを追加的に説明する能力を有する。(4)特別配当と利益のコロボレーション効果は、記念配当と利益のそれほど大きくない。(5)特別配当の水準と特別増配は、それぞれ次期の利益水準と次期の利益変化を追加的に予測する能力を有する。(6)特別増配のコロボレーション効果の次期増益予測能力は、記念増配のそれほど大きくない。 本研究は、日本企業の特別配当の実態やその情報内容を明らかにした日本初の研究であるという意義を有するほか、次の学術的意義を有する。(5)は、特別増配について、基本的にシグナリング仮説が成立していることを証拠付けるものである。そのような特別増配の次期増益予測能力を知っているからこそ、(3)市場は特別増配に対してプラスの評価を与える。シグナリング仮説を否定する証拠が多い米国とは異なる証拠を日本市場のデータで提示した意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2つの論文を公刊するとともに、東京大学現代会計フォーラム(2011 年11月26 日)の研究会において「特別配当の実態と市場の評価」というテーマで研究発表を行った。2年目以降の本格的な分析を行うためのリサーチ・デザインの構築に際して、初年度の研究成果が与える貢献は大きい。以上から、研究活動はおおむね順調であると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究会で得たコメントに基づいて、すでに初年度の実証分析の精緻化を図っている。また初年度の研究成果を踏まえた上で、本研究課題のリサーチ・デザインを構築する。その後、データベースが完成次第、本研究課題の実証分析に取りかかる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費は、初年度の実証分析を精緻化させた上で、英文ジャーナルへの投稿(翻訳費用、投稿費用)や海外での研究報告(海外旅費)への支出を予定している。なお、最新のデータに基づく証拠を提供することが実証研究において特に重要であることに鑑みて、初年度に購入したデータベースを更新するとともに、東京証券取引所等に出張して最新データを収集する。
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Research Products
(2 results)