2011 Fiscal Year Research-status Report
キャッシュフローの配分計算としての会計上の利益計算と企業結合会計における測定問題
Project/Area Number |
23730440
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
山下 奨 跡見学園女子大学, マネジメント学部, 助教 (40508446)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 企業結合会計 / 負債の測定 / 経営者の期待 / 投資の性質 / IASB |
Research Abstract |
研究の目的にあった取得法の測定の諸問題を再検討するべく、研究実施計画にあった利益計算と整合的な測定方法と具体的な測定問題の検討の一部を実施した。本年度の具体的な研究内容は、次のとおりである。 2007年末から2008年初にかけて米国財務会計基準審議会(FASB)および国際会計基準審議会(IASB)によって公表された企業結合会計基準を開発するうえで問題になったのが、企業結合時に取得した偶発負債の事後の扱いである。取得法においては、認識要件を満たした偶発負債は、企業結合時に認識され公正価値で測定される。しかし、企業結合後に偶発負債の認識要件を満たさないものについては、認識が中止され、その金額だけ利得が生じる。これに対処するために開始されたとされるのが、IASBの負債プロジェクトである。本研究では、そのプロジェクトにおいてIASBが提案している金融負債と非金融負債という外形に着目した負債の分類では、負債の測定を説明することができないという問題意識のもと、経営者の期待に着目した金融投資と事業投資といった投資の性質による資産の分類を参照枠として、経営者の期待に基づいて負債を分類するための論点を整理した。そのうえで、暫定的な結論として、事前の期待を事後の事実で確かめる利益計算と整合的である、経営者の期待による負債の分類モデルを提示した。 そのモデルから示唆されるのは、負債が、負債プロジェクト等においてIASBが極端な提案をするときに想定しているような主に市場価格の変動を期待するものだけではないということである。当該研究の意義や重要性は、このような示唆に加えて、原始的とはいえ、そのような利益計算と整合的な負債の分類モデルを初めて提示したところにある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
企業結合会計の測定問題について利益計算の観点から再検討するうえで、(1)利益計算に関する概念的な検討と(2)利益計算と整合的な測定方法の検討の課題が大きな課題であるためにより多くの時間が掛かることが見込まれ、(3)具体的な測定問題の検討に関連する個々の識別可能資産負債の測定問題について、企業結合以外の場合も丁寧に調査する必要があることがわかったため。 また、当初の想定よりも、教育・行政運営上の負担が増え、当該研究にかけられるエフォートが大幅に減ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの達成度」にも書いたとおり、進捗が芳しくないのに伴い、研究費の使用が若干遅れている。本年度に収集した資料等をもとに、引き続きできるところから調査を進めていきたい。また、学位論文としてまとめることについては、最終年度に繰り越すこととしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遅れを取り戻すためにも、当初想定の研究のペースを維持・改善したい。次年度は、残りの分を含めて当初の予定通り使用し、最終年度に多くの金額を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)