2012 Fiscal Year Research-status Report
キャッシュフローの配分計算としての会計上の利益計算と企業結合会計における測定問題
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23730440
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
山下 奨 跡見学園女子大学, マネジメント学部, 助教 (40508446)
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Keywords | 企業結合会計 / 投資の性質 / 経営者の期待 / 事業投資 / 金融投資 / 資産負債評価 |
Research Abstract |
研究の目的にあった取得法の測定の諸問題を再検討するべく、研究実施計画にあった利益計算の概念的な検討と利益計算と整合的な測定方法と具体的な測定問題の検討の一部を実施した。本年度の具体的な研究内容は、次のとおりである。 1990年代以降、従来の実現の考え方と整合的な理論である投資の性質に着目した資産負債評価の理論が発展してきている。これは、投資の性質をいわゆる時価の変動を期待する金融投資と事業からの成果を期待する事業投資とに2分類して、資産負債の評価を説明しようとするものである。しかし、時価の変動を期待する典型的な金融投資にも、事業からの成果を期待する典型的な事業投資にも当てはまらない、その他の経営者の事前の期待を有する投資がありうる。典型的な金融投資や典型的な事業投資の2分類の限界を超えて、投資の性質に着目した資産負債評価のより上位にある、経営者の事前の期待とそれを確かめる事後の事実に立ち返って、それらをもとに資産負債の評価の使い分けの論理の再構成を試みた。もともとの意図が時価の変動を期待する典型的な金融投資を切り分けることであれば、それに沿った形で、時価の変動を期待する投資とそれ以外のキャッシュフローの獲得等の期待をもつ投資というように分けることができることを示した。 当該研究の意義や重要性は、投資のすべてが厳密には典型的な金融投資や典型的な事業投資に2分類されるわけではないという指摘に加えて、原始的とはいえ、開発当初の意図に沿った形で投資の性質に着目した資産負債評価の再構成を試みたところにある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度と同様であるが、企業結合会計の測定問題について利益計算の観点から再検討するうえで、①利益計算に関する概念的な検討と②利益計算と整合的な測定方法の検討の課題が大きな課題であるためにより多くの時間が掛かることが見込まれ、③具体的な測定問題の検討に関連する個々の識別可能資産負債の測定問題について、企業結合以外の場合も丁寧に調査する必要があることがわかったため。また、当初の想定よりも、教育・行政運営上の負担がさらに増え、当該研究にかけられるエフォートが大幅に減ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの達成度」にも書いたとおり、進捗が芳しくないのに伴い、研究費の使用が若干遅れている。本年度に収集した資料等をもとに、引き続きできるところから調査を進めていきたい。また、学位論文としてまとめることについては、そのエフォートを確保できるかは微妙なところであるが、その基礎作りを行うなど、できる限りのことを尽くしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、遅れを取り戻すためにも、当初想定の研究のペースを維持・改善して、残りの全額を使用する予定である。
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