2011 Fiscal Year Research-status Report
国際財務報告基準へのコンバージェンス,アドプションと包括利益概念を巡る研究
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23730444
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松原 沙織 東海大学, 政治経済学部, 准教授 (10514961)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 包括利益 / 純利益 |
Research Abstract |
経済構造の変化に伴い,日本においても平成23 年3 月31 日以後終了する連結会計年度より包括利益の導入が決定された.しかしながら,今日においてもなお包括利益が業績として報告される意味は明確にされていない.これらの背景として,特定の資産または負債を時価評価した際の評価差額の存在が挙げられる.すなわち,貸借対照表上のすべての未実現項目が包括利益として計上されるわけではない.よって,なぜ限定された項目のみが包括利益として計上されるのか課題として残されている.このような問題意識の下,本研究は,特定項目がいかなる事実を踏まえ時価評価され,その変動額が包括利益計算へ含められるのか導いた上で,包括利益計上の意味を明らかにすることを目的としている。 売却可能有価証券の評価差額を包括利益計算へ含める意味について検討した.考察の結果,その背景には,金融商品それ自身独立した項目として捉まえる思考が存在することが明らかにされた.これは,金融商品の評価差額について,その保有目的に関係なく,一貫して損益計算へ含めるという思考であり,国際会計基準審議会における売却可能有価証券の評価に対する考え方と同様である.このことは,ノーべーシスアジャストメントに基づき繰延ヘッジ損益を計上する方法,すなわちヘッジという特殊な経済行為を特殊なものとみなさない思考と同様である.このような意味において売却可能有価証券の評価差額と繰延ヘッジ損益は共通性を有するといえよう. 国際会計基準審議会における業績報告プロジェクトは,英国の会計基準設定主体である英国会計基準審議会との共同プロジェクトであったため,その根底にある考え方は類似している.そこで,業績報告の歴史的展開に関しては,英国で採用されている業績報告の背景にある思考を歴史的アプローチに基づき研究をおこなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
包括利益に関わる「会計主体および会計単位」について考察する際に非常に多くの時間を要してしまったため,研究の進捗度が遅れてしまっている.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)包括利益概念に関する会計主体と会計単位の関係を明らかにすることにより,包括利益概念の本質を明確にした上で論文として公表する.(2)包括利益へ影響を与える特定項目(売却可能有価証券の評価差額)の分析を通じ,包括利益について認識および帰属の視点から結論を導いた上で論文として公表する.(3)業績報告の歴史的展開に関しては,英国で採用されている業績報告の背景にある思考を歴史的アプローチに基づき明らかにした上で論文として公表する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画は下記のとおりである.なお,昨年度の科研費の繰り越し分(114,844)は,資料収集および研究打ち合わせのための外国旅費に充当する.消耗品費50,000,国内旅費64,844,外国旅費750,000,その他50,000
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