2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23730445
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
金 鉉玉 東京経済大学, 経営学部, 准教授 (40547270)
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Keywords | リスク情報 / 非財務情報 / ディスクロージャー / 事業等のリスク / コーポレートガバナンス |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本企業における情報開示行動や支配構造の史的変遷を整理するとともに、両者の関連性を明らかにすることである。また、研究内容の海外発信を意識し、海外学会での報告や海外ジャーナルへの投稿も積極的に行っている。具体的な本年度の研究実績として以下があげられる。 ①研究発表:国内外の学会で次の研究報告を行った。日本会計研究学会第71回大会「財務情報評価における非財務情報の役割」(2012年9月、一橋大学)、The 25th Australasian Finance & Banking Conference「Stock option awards: Effects on firm performance and risk-taking during Japan's corporate governance reforms」(2012年12月、オーストラリア) ②論文発表:「Japan's Big 3 Firms' Response to Clients' Business Risk: Greater Audit Effort or Higher Audit Fees?」がInternational Journal of Auditingでの掲載が決まった。 ③データベースの構築:リスク情報開示のデータベースの構築は本研究の大きな目的の一つである。これまでは東証1部上場企業を対象としていたが、今年度はそれ他市場上場企業にまで対象を拡大した。その結果、現時点で延べ2万社に関するデータを集めた。 ④進展中の研究:「Stock option awards: Effects on firm performance and risk-taking during Japan's corporate governance reforms」を海外ジャーナルに投稿している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展していると評価できるのは次の3つの点からである。 ①海外ジャーナル掲載;課題年度1年目から取り組んでいた研究が海外ジャーナルへの掲載が決まった点である(Japan's Big 3 Firms' Response to Clients' Business Risk: Greater Audit Effort or Higher Audit Fees?)。同研究は、監査人がリスク情報をどのように評価するかを検証したもので、リスク情報開示研究において監査人の視点を取り入れた点で非常に意義のある研究である。 ②データベースの拡張;これまでの研究からは日本企業におけるリスク情報の開示実態が明らかにされつつある一方で、サンプルが主に東証1部上場企業に限られていることから、その他市場上場企業の開示実態は必ずしも明確になっていなかった。医薬品業界に限定した分析では上場市場間で開示実態が異なる可能性が示されており、サンプルを拡張した分析が求められる。上場市場の異同は企業の抱えるリスク環境に影響を与える可能性が大きく、それが開示情報にどのように投影されるかは、リスク情報開示研究における重要なテーマであるといえる。この観点から東証1部上場以外の企業にまでデータベースを拡張を行った。これは日本の上場企業のほとんどをカバーするものといえる。 ③ドラフトの執筆および学会報告;現在、「リスク情報開示への監査人の関与」「リスク情報開示が企業のリスクに与える影響」「家族企業と業績予想の開示行動の研究」に関して論文執筆を取り組んでいる。また、海外学会での研究報告の申し込みも同時に行っている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は課題最後の年度となる。そのため、これまで取り組んでいた研究の発信をより強く意識する予定である。そのため、次の3点に集中して研究を行っていく。 ①学会での報告;これまで取り組んでいた研究課題を海外学会においてより積極的に報告を行っていく。 ②ジャーナルへの投稿;上記の学会での報告でのコメントを反映して論文を完成し、海外ジャーナルに投稿していく。 ③データベースの構築;さらなるリスク情報開示データの収集・整理を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
すでに海外学会での報告申し込みが通過し、次の3件の報告が決定している。次年度は主に学会出張旅費として研究費を充てる予定である。 ①Annual Congress of Eruopean Accounting Assocation (2013年5月、フランス)。報告テーマは「How is and auditor involved with corporate business risk disclosure?」 ②Annual Meeting of American Accounting Association(2013年8月、アメリカ)。報告テーマは「How is and auditor involved with corporate business risk disclosure?」 ③Annual Meeting of American Accounting Association(2013年8月、アメリカ)。報告テーマは「A new approach to identify the economic effects of disclosure: Information content of business risk disclosures in Japanese firms」
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