2012 Fiscal Year Annual Research Report
現場主導の利益管理における会計情報の役割に関する研究
Project/Area Number |
23730447
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
庵谷 治男 長崎大学, 経済学部, 助教 (20548721)
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Keywords | 現場 / 会計情報の利用 / 利益目標の管理 / 管理会計 |
Research Abstract |
本研究の目的は現場主導の利益管理において会計情報が役割を果たすにはいかなる要件が必要かを明らかにすることである。具体的には、ケース・スタディを用いて現場の利益管理における会計情報の利用実態を、会計情報の①利用主体別、②適用対象別、③適用方法別に区分して整理した。とくに、最終年度(平成24年度)では、前年度の研究を受けて、引き続き調査を行うとともに、論文のレビューを実施し、まとめを行った。結論として、現場(製品の製造現場やサービスの提供現場を想定)では、マネジャーが主体となって会計情報を利用していることが明らかとなった。適用対象として、作業計画段階・実行段階・評価段階で利益目標の管理を目的として会計情報を利用している。とくにこれまでの研究では、実行段階では会計情報よりも物量情報の有用性が指摘されていたが、現場の従業員を積極的に巻き込んで利益目標の管理を実施ている組織では利益目標の進捗管理として重要な役割を果たしていることが明らかとなった。最後に、適用方法であるが、現場の従業員の会計情報利用に対する成熟度によって異なるといえる。現場の従業員は会計の専門家ではないため会計数値に精通していないことがこれまでも指摘されていたが、ケース・スタディのなかではトップマネジメントが現場へ深く介入することによって、理解を促進させていることが分かった。すなわち、現場のマネジャーがその他の組織成員の理解を促進させることには限界があり、トップ自らが現場で会計情報利用の意義を示すことで、組織成員が積極的に取り組むようになるといえる。 研究期間全体を通じた成果としては、これまで組織の現場に焦点を当てた管理会計研究が少なく、新たな知見を示すことができた。とりわけ、日本的経営に代表される現場で会計情報を利用している全員参加型経営のメカニズムを明らかにすることができた。
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Research Products
(6 results)