2012 Fiscal Year Annual Research Report
会計情報が企業の投資活動に与える影響に関するモデル分析
Project/Area Number |
23730449
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
石椛 義和 神戸市外国語大学, 外国語学部, 講師 (20553142)
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Keywords | 会計情報 / 資本市場 / 事業投資 |
Research Abstract |
本研究の目的は、企業が開示する会計情報と企業の投資活動との関連性について、株式市場を対象とした数理モデルを用いて明らかにすることである。会計情報の開示行為を通して企業の経済的パフォーマンスが悪化するような状況が生じるのは当然好ましくなく、会計情報と投資活動の関係を明確にすることは、どのような開示会計情報が社会的に有益かを考える上で重要である。 会計情報の公的開示の主要な目的は、投資家と企業の間の情報非対称性を減少させ、投資家の適正な判断を導くことである。本研究では、会計情報の質、および会計情報の調整という、会計情報特有の2つの性質に注目している。 最終年度では、1年目に行った会計情報の質に注目した研究を受け、会計情報の調整という2つ目の特徴に注目した研究を進めた。特に本研究は企業の投資活動に関心があるため、会計情報自体を歪めるような状況は考慮せず、企業経営者が投資活動を選択することで会計情報を調整する状況に着目した。 会計情報の質により、企業の投資選択が会計情報を通して見えるケースと見えないケースが考えられる。そこで、株価に関心を持ち、投資量を裁量的に変化させるような経営者を想定した上で、数理モデルにより2つのケースを比較したところ、見えないケースは見えるケースに比して投資量が小さくなるという結果が得られた。この結果は、会計情報が企業の投資活動を伝えることで投資量が大きくなることを示しているが、これは投資量に対する株価の反応を企業経営者が期待することによる、過大投資の可能性がある。 企業の効率的な投資活動を考察する上で、社会厚生を最大にする投資量との比較が必要であることから、モデルの分析を継続している。現在進めている分析で得られた結果は、会計情報の特性が企業の投資活動に与える影響としてまとめ、近日中に論文にて発表する予定である。
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