2015 Fiscal Year Annual Research Report
実体的・会計的利益制御の同時関係に対するガバナンスの影響の分析的・実証的研究
Project/Area Number |
23730451
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松浦 総一 立命館大学, 経営学部, 准教授 (50554317)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 利益制御 / 租税回避 / 機関設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
実体的・会計的利益制御の同時関係に対するガバナンスの影響の分析的・実証的研究を行った結果,以下の成果が得られた。 第1に,実体的利益制御と会計的利益制御のコストに注目した利益制御インセンティブ研究では,利益制御のインセンティブが強い企業ほど,企業価値を犠牲にしてでも短期的な目標利益達成を目指すことが分かった。 第2に,コーポレートガバナンスが利益制御そして租税回避行動に与える影響を実証的に検証した研究では,まず多国籍企業で大企業であるほど,実効税率が低いという一般的な常識に挑戦し,企業規模が大きくなるほど,あるいは海外売上高が大きいほど,実効税率の減少傾向が強いという証拠は得られなかった。つまり多国籍な大企業が積極的に租税回避行動を取っているわけではない可能性がある。さらにコーポレート・ガバナンスが利益制御と租税回避行動に与える影響を見るために,監査役設置会社から監査等委員会設置会社への変更を行った企業がもつ財務的特徴を分析し,監査等委員会設置会社への変更した会社は,変更しなかった企業に比べて,財務体質が弱い傾向にあることを発見した。 これらの研究は,未だ発展途上のものであり,データベース構築,金融契約論や不完備契約論に基づくコーポレート・ガバナンスの検討と仮説の導出,代理変数の妥当性の検討,計量経済学モデルにおいて,検討の余地が残されており,今後の課題とする。
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