2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23730452
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
西谷 順平 立命館大学, 経営学部, 准教授 (40363717)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 債務契約 / 保守主義 / モラル・ハザード |
Research Abstract |
2011年度の研究計画は、筆者がこれまで会計情報システムにアクルーアルの反転の要素を加えた上で、会計的保守主義に対する多期間モデルを構築することであった。また、その際の課題としては、申請者にも記入した2種類の情報システムをいかに組み合わせて比較するかが挙げられていた。 これに対して、まず、この文脈で唯一多期間モデルを使って分析を行った Haijin Lin,"Accounting Discretion and Managerial Conservatism: An Intertemporal Analysis", CAR, Vol.23 No.4を時間をかけて精査し、その内容を分析的会計研究会(慶應義塾大学)にて発表した。その結果、Brian Mittendorfにも指摘されているように、会計の論文としては成功していることは言えないことがわかった。これにより、保守主義研究への多期間モデル分析が困難性および困難となるポイントが理解できたと同時に、多期間モデルを成功させることの国際的意義が確かめられた。 一方で、自分で開発した情報システムに近いシステムを使って負債契約を分析したGigler et al."Accounting Conservatism and the Efficiency of Debt Contracts", JAR, Vol.47 No.3を精査し、単期間モデルにおいて自分自身の情報システムを負債契約だけに絞って分析するだけでは通用しないことを理解したが、同時に国際的な文脈にそって自分自身の研究がポジション取りをできることを確認することができた。 その他、まとまった時間をかけて、これまでの保守主義研究についての文献をほぼすべて収集し、サーベイを順次かけている。その結果として、今後のこの文脈での自分のポジション取りの場所を改めて設定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
科研費申請時は、カナダでの学外研究期間中であった。しかし、帰国後、この科研費の研究期間がスタートするのと同じタイミングで、突然に副学部長に任命されてしまった。その上、自分自身は、カナダにいて知らなかったが、所属する学部がキャンパス移転を決定してしまっており、その準備までもが通常の副学部長ルーチンに加えて付加されることになった。このため、職員約30名を束ねて入試業務および教学運営業務の全般に加えて、企画立案業務を学部長室において執行しなければならず、さらに何種類もの全学会議およびミーティングに出席せざるをえなくなり、研究室さえ行けない日々が2011年度は続いた。また、当初予定していた国際学会への出張も、入試イベントなどに重なり行けなくなってしまった。よって、研究の進捗は予定よりもかなり遅れてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度中に現在手持ちの論文草稿2本を国際ジャーナルに投稿するとともに、3本目の論文の完成を目指す。もし間に合えば、2012年度中に公募・発表の機会がある国際学会に応募するとともに、2012年度中に公募され2013年度に開催がある国際学会に応募し、パスした場合には基金化の意義を生かして研究期間の延長申請をする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
いくつかのジャーナルに対してランクの高い方から当たるため、ジャーナル投稿料と英文校正料が発生する。また、論文の執筆段階で国内出張を行い研究会にて発表するというプロセスを複数とるため、国内旅費が発生する。国際学会に出席の際には国外旅費が発生する。もし可能であれば、2013年度への期間延長申請を行い国外旅費について残しておきたい。
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