2013 Fiscal Year Annual Research Report
17-18世紀イギリス東インド会社における会計報告実務の形成に関する研究
Project/Area Number |
23730460
|
Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
杉田 武志 大阪経済大学, 情報社会科学部, 准教授 (80509117)
|
Keywords | 会計学 / 会計史 / 財務会計 / 東インド会社 / 資本評価 / イギリス / 簿記 / 財務報告 |
Research Abstract |
本研究の目的は、現存するイギリス東インド会社の会計報告書、会計帳簿に加え、会社に関連する経済的、社会的環境も検討することで、定期的な会計報告実務の形成に影響を及ぼした要因、同社の会計報告実務の形成過程における会計報告の意義の変容、会計報告書の報告書のひな型の変遷や作成方法などを明らかにすることであった。 そこで、本研究では必要な史料(会計報告書、会計帳簿等)を、ロンドンの大英図書館へ複写依頼を行い、入手した。会計報告書や会計帳簿の入手後は、本社議事録なども含めて考察した。会計報告書について主に会計帳簿との関係の観点から考察を進め、その結果として、17世紀後半期に実施された資本評価(特に第2回目以降)は、必ずしも会計帳簿、特に元帳の勘定残高から誘導されて作成されたものはないことがうかがえた。つまり、資本評価の作成に際して今日的な誘導法のような作成方法が用いられたわけではないと考えられる。各担当者の記録や商館地の記録などの原始記録に基づいて、元帳や資本評価が作成されたことが想定されるのであり、元帳や資本評価は2次的産物と考えられる。したがって、必ずしも「元帳の勘定残高 → 資本評価」というような誘導法的な手続きがとられたわけではないことが明らかとなってきた。こうした一連の成果については、論文投稿中及び投稿予定である。あわせて、18世紀の会計報告書に関しては、引き続き検討を行い、18世紀の会計報告に関する研究成果を今後発表していくつもりである。 なお、こうした一連の財務報告の考察の中で、財務報告をめぐる監査人に関する検討も行った。これは、財産有高報告を行う上で、経営陣による不正の疑惑が持ち上がった際における、監査人の役割についても考察を行った。これについても、専門雑誌において既に論文としてパブリッシュされている。
|