2012 Fiscal Year Research-status Report
テキストマイニング分析に基づく会計変化の本質の研究
Project/Area Number |
23730462
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
澤登 千恵 大阪産業大学, 経営学部, 准教授 (30352090)
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Keywords | 会計史 / 鉄道会計 / テキストマイニング |
Research Abstract |
本研究の目的は,財務報告と管理会計の源流である19世紀イギリス鉄道会計の財務報告実務を,テキストマイニングで分析し(従来の歴史的研究もあわせて行う),会計変化の本質を再検討することである。最終的には,19世紀前半から20世紀中頃(国有化)までの分析結果を統合し,そこから鉄道業が直面してきた会計問題を大局的に把握し,現代の財務報告実務の生成に対する貢献を検討する。その意義は,130年という長期間,主要鉄道会社の会計変化を網羅的・客観的に分析,検討することにある。そこには,先行研究が見過ごしてきた会計問題や会計変化が存在し,これらをあわせて検討することが新しい分析視角から検討することにつながると考える。 平成24年度の研究実績は以下の通りである。 (1)平成22年度発表,平成23年度投稿,アクセプトされた論文について,掲載号が決定したとの連絡があった。同時に,新しい研究成果を反映するよう依頼があったため,論文を精緻化し,提出した。発刊は12月である。“Influence of fundraising infeasibility on accounting changes : An Investigation into Early Financial Reporting Practices Using Text Mining”, Journal of Accounting and Organization Change, No.9 December, 2013。 (2)会計の相対性という課題で本を出版することになり,その中の1章を担当することになった。これまでの研究成果をまとめて,論文を作成,提出した。近日発刊予定である。「London and Birmingham鉄道における減価償却の議論と実務の変化」竹田範義編著『会計のリラティヴィゼーション』創成社,近日発刊。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
産前産後の休暇取得に伴う補助事業期間延長承認申請書の計画に照らすと,おおむね順調に進展している。 研究対象は19世紀を代表する鉄道会社5社,London and Birmingham鉄道会社,Grand Junction鉄道会社,London and North Western鉄道会社,London, Brighten, and South Coast鉄道会社,Great Western鉄道会社の株主総会後に提出された全報告書である。 平成24年度,残されている主な課題は次の通りであった。 ①1868年(鉄道規制法制定)までの各鉄道会社の分析結果に基づいて従来の歴史的研究による研究の続き(資金調達不確実性の影響の有無,監査システムの研究を含む)。②London and North Western鉄道会社について1923年(合併・消滅)までの分析。③Great Western鉄道会社について1933から1951年まで,1869から1947年(国有化・消滅)までの分析。④両鉄道会社間での分析結果の比較。⑤1868年までの鉄道業全体の分析。⑥1868年以降の鉄道業全体の分析である。さらに,⑦19世紀を代表する鉄道会社であり,その会計実務がアメリカ鉄道会計に影響を与えた可能性が高いにもかかわらず,先行研究ではあまり注目されてこなかったGreat Western鉄道会社の会計実務の研究(帳簿組織の研究を含む)。 当初の予定では,①から④を平成24年度,⑤から⑦を平成25年度に実施することになっていたが,現在,⑤の途中まで完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
残されている主な課題について,平成25年度の具体的な計画は次の通りである。 (a)上記④の成果として,2大鉄道会社であるLondon and North Western鉄道会社と Great Western鉄道会社の分析結果の比較,検討結果(資金調達不確実性の影響の有無)について,論文を作成。監査システムに関する検討も含める。6月,投稿予定。 (b)鉄道業全体において,19世紀前半から20世紀中頃(国有化)までの期間について分析。⑤の1868年までの検討との比較を含め,論文を作成。10月,発表(投稿)予定。(⑤⑥)。 (c)Great Western鉄道会社の帳簿組織に関する検討と,決算書様式のアメリカ鉄道会社への伝播について検討し,論文を作成。2月,投稿予定(⑦)。 なお,①については,引き続き研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Great Western鉄道会社の1912年から1945年までの史料および設立当初の帳簿に関する史料が未入手であるので,これをNational Archiveより取り寄せる必要がある。史料番号:RAIL 272/37,272/66,272/99:合計304,650円(1ポンド150円で換算)。
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Research Products
(2 results)