2014 Fiscal Year Research-status Report
病院・介護施設からの在宅復帰の阻害要因に関する社会学的研究
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23730465
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
伊藤 嘉高 山形大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40550653)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 退院患者 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初は、「脱施設化」を背景に、高齢者医療・介護に係わる地域住民の意識傾向および実態(経済、家族、住環境、地域社会等)を把握する質問紙調査を実施する予定であった。この調査により、社会的入院の阻害要因がどの程度、地域住民の間に潜在しており、そして、それらの要因が地域活動の密度の高さによってどの程度緩和されているのかについて、明らかにすることができる。 この論点について、県内2基幹病院の退院患者を対象に、調査を実施することとし、関係者へのヒアリングとデータ分析を実施した。 まずは、調査対象病院の入院患者の特徴と退院支援体制について、データ分析を行った。その結果、調査対象A病院について、二次医療圏内の患者シェア率は、神経と呼吸器、小児はA病院が最も高く(それぞれ31.4%、34.2%、5.6%)、他のMDCは10~20%であった。ただし、救急搬送入院については、A病院が最多の33%に達していた。退院調整加算が0%、地域連携診療計画退院時指導料が0%、退院時共同指導料が6.8%、介護支援連携指導料が39.4%などであった。 調査対象B病院について、二次医療圏内の患者シェア率は、眼科、耳鼻等は多数を占め、小児、呼吸器、神経、腎尿路、外傷等は半数程度であった。救急搬送入院についても76.7%を占めていた。そして、退院調整加算が88.3%、地域連携診療計画退院時指導料が0%、退院時共同指導料が81.3%、介護支援連携指導料が83.6%などであった。 このようにあくまで診療報酬算定上の数値ではあるが、退院支援に対する体制の異なる二病院の特徴を明らかにした上で、ヒアリングによって実際の人員配置状況などを確認した上で、調査票の作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学内業務により多忙を極めたため、調査を実施する時間がなく、調査票の配布、回収、分析を行うことができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度に予定していた退院患者調査について、27年度に実施することにする。調査の分析により、社会的入院を解消し、良質な高齢者医療&ケアを提供するために必要な、医療提供体制、地域連携のありよう、および社会政策的対応について検討し、関連学会等で発表を行う。最後に、山形県医療行政への政策提言、および医療従事者への情報提供を目的として、全国的な敷衍可能性について検討したうえで、報告書にとりまとめる。
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Causes of Carryover |
26年度に退院患者への量的調査を実施し結果を公表する予定であったが、関係者に対するヒアリング調査とともに調査票の作成を進めたものの、学内業務(地域医療構想検討のためのDPCデータ分析)により多忙を極めたため、調査を実施する時間がなく、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
このため、26年度に予定していた退院患者への量的調査を27年度に実施することにし、未使用額はそのための経費(紙代、郵送代、データ入力代)に充てる。
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