2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730471
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田辺 俊介 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (30451876)
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Keywords | 排外性 / ナショナリズム / 政治意識 / 脅威認知 / 国威信 |
Research Abstract |
本年度は本研究の分析を進めるだけではなく、成果をいくつかの学会で報告し、また論文を執筆した。 具体的には、まず排外性の規定要因に関する分析の成果を、アメリカ社会学会の2012年次大会において報告した。その知見としては、同じ「外国人」といっても、対象の出身国の地位評価によって排外性の規定要因が大きく異なることが示された。日本のデータでは、社会的地位評価の高い集団(アメリカ人)と、地位評価は下位であるが文化的共通性が高い集団(中国人・韓国人)や地位下位が低く文化的異質性も高い集団(ブラジル人)では、排外性の規定要因が異なっていた。特に地域への居住比率について、社会的評価が上位の集団の場合は影響力を持たない一方、下位集団が多い地域ではその集団が増加することに反対する人を増やす傾向が示された。 さらに排外性と、外国人が増加することの脅威認知の間の関連をさらに検討するための分析を行い、その成果をアメリカ社会学会の2013年次大会において"Conceptual Diagram and Empirical Assessment of Nationalism in the Ethnic Nation"として報告予定である(発表に関する査読は通過済み)。その知見としては、脅威認知は排外性の原因となる傾向とともに、ある種の愛国主義も脅威認知を経由して排外性に影響することが示された。 また昨年の日本比較政治学会(2011年6月於北海道大学)で報告した「ナショナル・アイデンティティと政治意識の関連構造の国際比較」の内容をまとめなおし、再分析も含めた論文としている。その「誰が支持する政党を持たないのか?-価値意識が政党支持に与える影響」と題する論文は、自らが編者となって勁草書房より出版予定の学術図書『民主主義の「危機」-国際比較調査からみる市民意識(仮題)』に収録予定である。
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