2011 Fiscal Year Research-status Report
女性の就業選択と性別役割意識に関する計量社会学的研究
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23730472
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
橋本 摂子 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (70323813)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 性別役割意識 / 女性の就業 / 社会階層 / パネルデータ |
Research Abstract |
今年度の成果としては、主に東京大学社会科学研究所によって実施された若年・壮年層パネルデータ5年分を用いて、本研究で検証する第一の作業仮説「性別役割意識は可変的な意識であり、時間経過によって個人内部での変容可能性をもつ」の妥当性が確認された点が挙げられる。具体的な分析内容としては、性別役割意識について尋ねているW1,3,5の3カ年分のデータを使用し、W1とW3の間での個人レベルでの意識変化量およびW3とW5の意識変化量の総和を求め、次の3つのグループに分けて、変化量の平均値に差があるかを見るために分散分析をおこなった。3グループとは、W1-5の調査期間中に未婚を継続した層、期間中結婚した層、期間中既婚を継続した層である。分散分析の結果、グループ分類は統計的有意な結果を示し、かつ性別役割意識変動量の大きさは、期間中結婚層、未婚継続層、既婚継続層の順であった。なお、変化における男女差はみられなかった。これは、青年期に形成され、成人後は固定的な価値意識として個人の行動選択に影響を及ぼすと考えられてきたこれまでの性別役割意識観が間違いでありことを示すとともに、家庭内性別役割意識が特に結婚というライフイベントの前後で大きく変化することを示している。それによって、「意識-行動の規定関係の逆転は、おそらく結婚や出産等のライフコース・イベントを機に生じる」という本研究の出発点となった仮説が傍証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年3月に起こった震災により、申請者の勤務地(福島)は大学を挙げて地域復興支援課題に取り組んでおり、申請者自身も多くのプロジェクトに参加・推進している。そのため、前年度は多忙を極め、当初予想していた研究エフォート率を下回ることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題としては、イギリスのパネルデータを用いた国際比較分析を進める。また、本研究第二の仮説である「性別役割意識と就業選択を結ぶ規定関係の方向は、個人内部で逆転する」の検証を具体的に進め、意識の変容および就業状況との関連を個票レベルで分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費30万円、旅費(海外渡航による調査含む)40万円を予定している。
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